2017 Fiscal Year Annual Research Report
Gender Analysis on Reconstruction Assistance: Social re-integration of female ex-combatants in the post-conflict society.
Project/Area Number |
25360048
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
高松 香奈 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (10443061)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ジェンダー / 女性兵士 / 復興支援 / 社会復帰支援 / UNSCR1325 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年として、これまでの研究成果の取りまとめ(論文執筆)と、研究成果報告(学会報告)を行った。本研究は、国内紛争において女性兵士の徴用が顕著に見られたスリランカに焦点を当て、国際援助レジームが復興支援の中で、元女性兵士の社会復帰をどう位置付けたのかを考察し、また「国連安保理決議1325」が社会復帰支援に対し与えた政策上の影響についても考察を目的とした。 研究を通し、次の点が明らかになった。2000年に採択された決議は、女性の多様な紛争への関わり方を認識する重要性を指摘するものとして重要であるが、復興支援などの実践において、女性兵士(戦闘員)の社会復帰支援は、男性兵士や子ども兵と比較し、枠組みから外れる傾向が顕著に見られる。これは、存在したはずの「女性兵士」が、紛争後に不可視化されることを意味している。この不可視化のプロセスは、支援形成段階で「兵士=男性」という意識により起こる場合と、同時に女性元兵士による自らの不可視化も明らかとなった。女性の元兵士は帰還後の生活において、兵士であったことにより排除を経験していた。そのため、現在主流ともいえるコミュニティを巻き込んだ元兵士の社会復帰支援は、女性の元兵士にとっては新たなリスクともなっており、女性の元兵士は兵士であったことを極力隠し、生活する傾向が強かった。また、紛争中に兵士として戦闘に参加することに疑問や抵抗を感じていた女性の元兵士が多いことが明らかとなったが、一方で戦闘員としての生活は自分の能力や可能性を知る機会にもなっていた。そのため、女性の元兵士たちは、既存のジェンダー規範や役割に戻ること、「復帰」する社会への抵抗を強く感じている現状が聞取調査で明らかになった。社会復帰支援が形式的に既存の社会に戻り、生計を安定させることだけを目的とした場合に、女性の元兵士にとっては有効な支援とはならず、別の支援方法の模索が不可欠である。
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