2013 Fiscal Year Research-status Report
戦時下における中国人女性の日本留学 -華北・華中地域を中心にー
Project/Area Number |
25360051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
周 一川 日本大学, 理工学部, 教授 (00303008)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 戦時下 / 日本留学 / 女子留学 / 中国人女性 |
Research Abstract |
平成25年度第一段階の研究内容は、華北地域を中心に調査対象者へインタビューを行いながら、文献資料を収集することであった。そのため、年度中5回(2013/06/20-06/23;2013/09/13-09/22;2013/12/27-2014/01/09;2014/02/16-03/05;2014/03/15-03/23)中国に出張することになった。華北地域(河北省、河南省、山東省、山西省)の主な地方図書館、北京図書館などで、当時の雑誌、新聞、官庁の教育関係資料を調べ、戦時下における日本留学に関する資料を収集した。 今までの研究で30名ほどの留学生にコンタクトが取れたのだが、東北地方出身者が多く、すでに亡くなっていた人も多かった。幸い、北京在住のJ氏(91歳、奈良女子高等師範学校卒業生)と天津在住のK氏(89歳、奈良女子高等学校卒業生)は、高齢であるにもかかわらず、インタビュー依頼を受け入れて、戦時下の日本留学について詳細に話してくださった。 日本国内では東京にある図書館、史料館および関連大学の図書館で文献資料を調べた。10月31日から11月2日まで奈良女子大学に出張し、奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター長の野村鮎子教授と「戦時下における奈良女高師の中国人留学生に関する研究」について打ち合わせをし、研究情報を交換した。アジア・ジェンダー文化学研究センターに所蔵されている当該研究に係る奈良女高師留学生の関連資料を収集することができた。 今年度は基礎調査を行いながら、今までの研究データを参考にして、計画より速くいくつかの研究成果をまとめることができた。これらは、本課題の基礎研究であり、次年度以降の調査の土台ともなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
資料収集とインタビュー調査は、おおむね計画通りに進められた。中国に出張した回数は計画より多くなり、収穫は多かった。高齢になった元留学生宅に訪問する機会をいただき、インタビュー調査対象者のご協力で、文献資料で判明できなかった戦時下における日本留学についての状況をいくつか明らかにすることができた。 さらに、二つの国際シンポジウムで「近年来中国女子留学生に関する研究動向についての報告」(「近年来中国女子留学生研究動向報告」北京大学歴史学部・神奈川大学人文学研究所主催「近代以来中日留学生」学術研討会、北京大学、2013年6月22日)と「民国時期における日本に留学した美術学生―美術学校留学生の名簿収集と資料分析」(「民国時期的留日美術学生-美術学校留学生的名単収集和史料分析」天津大学王学仲芸術研究所[日本館藏近代以来中国留日美術家文献資料整理与研究] 第一段階国際学術論証会、2013年10月19日)を発表し、その後、論文にまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 平成26年度第二段階の研究内容は、更なる文献資料の収集とインタビュー調査の実施である。調査対象地域も華北から華中に移す予定である。存命中の元留学生を探し続けてはいるものの、すでに90歳を超える方が殆どで、困難が予想されるので、文献資料を探す方に重点を置くことになる。引き続き資料収集とインタビュー調査を行うとともに、「①中華民国臨時政府、中華民国維新政府、南京国民政府の留学政策と日本政府と各学校の留学生に対する措置;②戦時下における留日学生データ(人数、留学先、出身校など)と帰国後の行方」に関連する論文を発表する予定である。 (次年度使用額が生じた理由と使用計画) 次年度に調査の中心を華北地域から華中地域に移転することにより、調査費用は25年度よりさらに増えることが予想される。平成25年度の研究費使用枠では、旅費が殆どで、やや旅費不足の感が否めなかった。平成26年度は、90%以上を旅費にあてる予定である。海外出張予定地域は、中国の北京、済南、上海、南京、広州、成都及びカナダのバンクーバー(元留学生であるW氏へインタビューするため)、そして国内出張の予定は、広島大学(広島文理科大学に関する資料を収集するため)である。
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Research Products
(5 results)