2013 Fiscal Year Research-status Report
歴史的視点による中国のジェンダー秩序に関する総合的研究
Project/Area Number |
25360052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小浜 正子 日本大学, 文理学部, 教授 (10304560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂元 ひろ子 一橋大学, 社会(科)学研究科, 教授 (30205778)
高嶋 航 京都大学, 文学研究科, 准教授 (10303900)
江上 幸子 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (90277955)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中国 / 家父長制 / 家族 / 朱子学 / 男性性・女性性 / 性別役割分業 |
Research Abstract |
中国におけるジェンダー秩序の変遷を歴史的に明らかにするために、共同研究のメンバーを中心にその他の研究者をも招いたシンポジウムを、(1)シンポジウム「中国のジェンダー構造の歴史的変容」(2013年7月7日、中国社会文化学会との共催)、(2)シンポジウム「中国史における家族像の展開-滋賀『中国家族法』を歴史化する」(9月21日)、(3)シンポジウム「ビジュアル・メディアとジェンダー」(2013年12月15日、東洋文庫現代中国研究資料室図画像資料班との共催)、(4)シンポジウム「中国古代のジェンダー構造」(2014年3月13日)の4回開催した。また、それ以外に共同研究メンバーによる研究会を4回開催した。 このような中で、研究目的に掲げた(1)中国伝統社会におけるジェンダー秩序の変遷について、唐宋変革以降の中国前近代社会における家族構造は、朱子学的な「気」と血統観念を基盤にしたものであることが明らかになった。(2)中国における男性性と女性性の正確とその変化について研究し、議論を行った。その結果、唐宋変革期に中国の男性性・女性性の構造にも変化があったこと、宋代以降の前近代中国社会では、性別役割分業が明確になったが、近現代の社会変化の中では、むしろ欧米の近代社会のように固定的な性別役割分業が定着したわけではないこと、中国の男性性・女性性の構造は、欧米社会のそれとはかなり異なった側面があること、が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2013年度には、4回の公開シンポジウムを開催し、その中で、特に中国の家族構造の変化について重要な発見があった。具体的には、9月21日のシンポジウム「滋賀「中国家族法」を歴史化する」における佐々木愛による報告「母の祀り、妻の祀り」において、滋賀「中国家族法」の基盤としている父子一体の気の概念は朱子学的なものであり、唐代以前には存在しなかったことが明らかにされ、いわゆる「中国の伝統家族の構造」とされているものが唐宋変革以後に形成されたものであることが、実証的に明らかにされた。このことはすでに東洋史研究会でも報告されて学界に驚きをもって受け入れられた。共同研究の最初の年にすでにこのように重要な成果が挙がり、中国ジェンダー史の研究は今後とも大変重要な研究の進展が期待できる分野であることが公認されつつあるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度以降も、各メンバーの個別研究を基礎として、共同研究によるシンポジウム・学習会を進めていく予定である。 特に、中国前近代社会の家族構造の変容について、2013年度には充分検討できなかった魏晋南北朝時代や明清時代の状況についての議論を深めると共に、近現代のジェンダー秩序の変容については、中華人民共和国成立以降の国家によるジェンダー秩序改変の試みとその結果および市場化の中でのジェンダー秩序の変化について、そこにおける女性の主体性の変化と共に、より深まった研究を、中国の研究者も招いての議論を行いながら進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算はおおむね使い切ったが、基金化によって最後の一円まで使い終わる必要がなくなったため、若干の残りが生じた。 平成26年度に、予定通りの金額に若干プラスして使用する。
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Research Products
(11 results)