2014 Fiscal Year Research-status Report
海事クラスターにおける女性のキャリア形成に関する実証的・実践的研究
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25360059
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Research Institution | Oshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
石田 依子 大島商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (40370027)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ジェンダー / 海事 / 男女共同参画 / 船舶 / 海運 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、WISTA(Women's International SHipping and Trading Association)におけるフィールドワークを中心として、世界の海事世界で女性たちが具体的にどのような就労状況にあるかということを検証することが基盤となっている。当該年度において,WISTA の中核を占めている欧州に焦点を絞った。昨年に引き続き、この年も次の二つの点を実行した。(1)欧州におけるジェンダー研究に関する論文・文献などの収集と分析を実施し、地域や国ごとのジェンダー平等の土壌を把握した。(2)欧州はWISTA のメンバーの中でも様々な国からの参加があり、どの支部も協会の中核をなす存在であるが、当該年度は、特にドイツにおけるジェンダー・メインストリーミングの取り組みと照らし合わせつつ、WISTA Germanyの調査を実施した。1990年代以降、ドイツでは政治の分野で女性議員の増加が始まり、2005年にはアンゲラ・メルケルがドイツ史上初の女性首相として選出されたことをきっかけとして、男女共同参画が促進したと指摘されている。この傾向と一致するかのように、WISTA Germanyにおいても、2005年頃からメンバー数が上昇している。また、今年度の欧州におけるジェンダー意識の調査から、そのそも「ジェンダー・メインストリーミング」という概念は欧州の民主主義の考え方から発生したものであるということがわかった。欧州では、教育や政治、経済において様々な差異が存在することがかなり早い時期から認識されていたのだ。男女間においても当然差異はある。つまり、男女や民族等の間に存在する差異を「ダイバーシティ」として逆手に取り、多様性がもたらす有効性を追跡することで、男女間における「ジェンダー・メインストリーミング」を目指そうというチャレンジである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、海運界における現在のジェンダー形成の状況を国際的に比較分析し、我が国の海運界で男女共同参画を実現させるにはどうするべきかを指摘することである。特に、本研究は、WISTA(Women's International SHipping and Trading Association)におけるフィールドワークを中心として、世界の海事世界で女性たちが具体的にどのような就労状況にあるかということを検証することが基盤となっている。当該年度において,WISTA の中核を占めている欧州に焦点を絞った。昨年度と同様に、文献収集とインタビューやアンケートによって、地域のジェンダー平等意識について調査を行ったが、特にWISTAのメンバーがこの研究を支援してくれており、協力が得られたので、研究が順調にはかどる大きな要因となった。ただし、当初は等が年度においてアフリカ(ナイジェリア)の調査も実施する予定であったが、テロの発生等、政治的な要因で渡航が困難になり、欧州に絞る結果となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は中東とアジアに焦点を絞る。次の二つの点を実行する。(1)これらの地域におけるジェンダー研究に関する論文・文献などの収集と分析し、各国や地域のジェンダーに対する概念の背景を掴む。(2)特にアジアのシンガポールはWISTA における重要な役割を果たす存在である。本年度はアジアを中心として、中東の調査と分析を行うが、この年度の研究で最も注目すべき点は、宗教的背景からジェンダー平等が遅れをとっている中東に関しても分析することである。WISTA には中東からもメンバーが参加していて、支部も存在するので、彼らは極めて貴重なケーススタディの対象となる。治安の関係上、中東に出向くことは不可能と思われるので、メールと文書による調査が主体となる。
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Causes of Carryover |
端数が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文執筆やその他資料の作成の際のインク代金として使用する。
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Research Products
(2 results)