2015 Fiscal Year Annual Research Report
アリストテレスの「エネルゲイア」概念の規範性の基礎としての現代的意義の研究
Project/Area Number |
25370008
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 久一郎 千葉大学, 普遍教育センター, 教授 (60197134)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 規範(norm) / 知識(knowledge) / 徳(virtue) / 実在論(realism) / 現実態(energeia) |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、プロジェクトの最終年度であり、アリストテレスの規範性についての考え方を、前年度までの『分析論後書』の翻訳の中で集約した論点の延長と見直しの中で、『ニコマコス倫理学』における「友愛」論との関わりで纏める作業を行った。 友愛論については、以前に科研費助成金をえて既に一度論じているが、今回はその修正と展開を試みた論考を『哲学雑誌』に掲載した。 主な論点と成果は、第一に、『分析論後書』の検討の中で明確になった(と思っている)「論証」による知識という構想とアリストテレスの倫理学における分析の営みとは必ずしも同型ではないという(ある意味では論ずるまでもなく明らかな)論点の確認の上に、「友愛」論を問答法的な探求の中に位置づけた場合に、その義論をどのように位置づけるかを示し、第二に、形而上学的枠組みにおいてではなく友愛の倫理学における重要性を明らかにしたことにある。 アリストテレスの「友愛論」は、われわれの「理性」の普遍性を最終的な根拠としながらも、具体的な議論の展開においては、個々の人々の個別的・具体的な「交わり」の成立と、(脆弱であれ)「共感」の継続の可能性に基づいて構成されている。 アリストテレスが、この形而上学的根拠と経験主義的実態をうまく繋ぎえているかについてはさらに検討しなければならないが、少なくとも、この論点はアリストテレスにおいてのみ問題となることではなく、アリストテレスにおいては「エネルゲイア」として論じられ、近代においては経験主義的な基盤によるとしても、それにつきないと論じられる琴になった「概念的把握」の成立の問題と交錯する論点である。 この問題については、「美」にかかわる概念についての新たなプロジェクトのもとに検討するつもりである。
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Research Products
(1 results)