2015 Fiscal Year Annual Research Report
哲学的当事者研究:身体障害者のための自助プログラムの構築
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25370010
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲原 美苗 大阪大学, 文学研究科, 助教 (00645997)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 当事者研究 / 障害の哲学 / 臨床哲学 / フェミニスト現象学 / 身体論 / 哲学実践 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、3年間の研究成果をまとめ、哲学実践を使った自助プログラムについて考察を深めた。世界各地で活躍している哲学実践の第一人者の一人であるヴィクトリア・チェルネンコ氏による哲学カウンセリングのワークショップに参加する機会があり、哲学カウンセリングと当事者研究の関係性について再考できた。その後もチェルネンコ氏とスカイプでのセッションを続けている。自らの問題を哲学的に分析し、そこから行動や生き方に影響を与えるような多角的な考え方を導くのが、哲学カウンセリングであり、その特性を当事者研究に応用できると確信した。 哲学当事者研究では、身体障害と共に生きる当事者が抱える固有の生きづらさを哲学的な問いにして考えていくところに特徴がある。そして、生きやすさを目指す問いを出し、その問いの中から生きづらさを作り出すパターンなどを知り、同じようなコンディションを持つ当事者や関係者の経験も取り入れながら、その人一人一人に合った自助プログラムを構築していく。 昨年9月16日にヘルシンキ大学(フィンランド)で開催された「DIALOGUE AND INTERSUBJECTIVITY」(学際的ワークショップ)にて研究発表をし、オープンダイアローグを開発したヤーコ・セイックラ教授(ユヴァスキュラ大学)をはじめとする心理学や精神医学の研究者と情報交換を行った。そこでも哲学実践の自助プログラムへの応用が重要視された。 平成27年度の本研究は「当事者研究」「哲学カウンセリング」「オープンダイアローグ」を再考し、身体と心(意志)とがなかなかつながらない身体障害者や疼痛患者のための自助プログラムの構築へと近づけたと実感している。
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Research Products
(9 results)