2013 Fiscal Year Research-status Report
明治期の東京大学における印度哲学および支那哲学講義の思想的意義
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25370012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
鈴木 朋子 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, リサーチフェロー (90622069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳重 公美 お茶の水女子大学, 文教育学部, アカデミック・アシスタント (00648884)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本仏教 / 中国哲学 / 近代日本思想 |
Research Abstract |
1886(明治19)年から翌年にかけて東京大学で行われた1.吉谷覚寿(1843―1914)による印度哲学(仏教学)、2.島田重禮(1838―1896)による支那哲学の講義内容を記した高嶺三吉(1861―1887)の自筆ノートを翻刻、分析した。このノートはすでにフイルム化され、金沢大学附属図書館にて保管されているため、そのコピーを取り寄せ、1.を鈴木(研究代表者)が、2.を徳重(研究分担者)が、担当した。その結果、1.の内容は、玉岡蒙潤による『天台四教儀』の注釈書『天台四教儀集註』の巻下六十四丁までを、計81の論題をたて、解説したものであり、後に吉谷が出版した『天台四教儀集註略解』における記述と、多くの部分が重なっていることが確認された。『天台四教儀』は天台教学の入門書であり、日本仏教の諸宗派の多くは天台の流れをくんでいる。したがって、現存する日本仏教の諸宗派の原点として天台教学の講義を行い、これを印度哲学の一つと位置づけることで、学術における西洋偏重を是正すると共に、日本仏教を再興させることが、吉谷における印度哲学講義の目的であったのではないか、との結論を得た。2.においては、冒頭の「概論」で、中国儒家思想や老荘思想が引用文と併せて紹介、解説され、それらが西洋哲学のいずれに近いものと考えられるかという点が記述されていいる。また、続く「解説」では、経書を中心とした中国古典からの引用が多くみられ、思想の解説がなされていることを確認した。したがって、島田もまた、西洋に傾きがちであった学術のありかたに対し、中国哲学をいかに位置づけるかという点を念頭に置き、講義を行ったものと考えられる。以上の成果は、明治期における東京大学の授業内容とその目的についての一側面を明らかにしたという意義をもち、これらの授業を受けた人物の思想解明にもつながるという点で重要であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ほぼ当初の計画通りに、文献の翻刻と分析を行い、明治期の東京大学で行われた印度哲学、支那哲学の講義内容とその特色を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況と今後の予定を確認し、情報交換を密にするため、年4回の研究会議に加え、必要に応じて随時、緊急会議を開催する。また、幅広く知識を吸収し、関連する資料をより多く収集するため、仏教学、中国思想、近代日本思想に関するシンポジウム、講演会等に積極的に参加する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、翻刻する文献のコピーを入手することができたため、文献調査旅費を大幅に縮小することができた。また、発表論文が一本であったため、原稿校閲にかかる人件費が未使用となった。 参考図書、文献複写、資料調査旅費等に使用する。
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