2014 Fiscal Year Research-status Report
空の論理の再解釈:分析アジア哲学の東アジアネットワークの構築
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25370017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
出口 康夫 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20314073)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空の論理 / 空の思想 / 空の言語表現 / 空の倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の活動を行なった。5月にニューヨーク市立大学で開催された国際ワークショップ・公開シンポジウムで、東アジア思想における「矛盾」の意義を探る研究発表・講演を行なった。6月には台湾・華梵大学で開催された中観思想における言語哲学についての国際ワークショップで、空の思想の言語的な表現可能性についての研究発表を行なった。7月には、西谷啓治の空の哲学についての論考を含む共著 Nothingness in Asian Philosophy (Routledge) を出版した。7月には、空の思想に裏付けられた「自在」概念についての発表を日本社会心理学会において行なった。8月には、シンガポール国立大学で開催された国際ワークショップ・公開シンポジウムで、東アジア思想における矛盾を解釈する新たな論理的枠組みに関する研究発表・講演を行なった。9月には北京外国語大学で開催された日中哲学者フォーラムで、東アジアの三論思想についての発表を行なうとともに、その内容を会議録に掲載した。9月にはカルカッタのJadarpur 大学と Rabindra Bharai 大学で分析アジア哲学に関する講演を行なった。11月には東京大学で開催されたインド哲学研究者と哲学研究者の学際的なシンポジウムで、インドの言語哲学に関する発表を行なった。1月には京都大学で開催された国際ワークショップ・公開シンポジウムで、後期西田哲学を「空の論理」の枠組みで解釈する発表・講演を行なった。3月にはシンガポール国立大学で開催された国際会議で、上記の西田解釈をさらに展開する発表を行なった。また同じく3月には台湾・国立政治大学で開催されたワークショップで、アジアの論理「因明」に関する討議を行なった。 これらの活動を通じて、東アジアにおける空の論理の展開を概観する視野を獲得するとともに、その現代哲学的な意義についての考察を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では、空の思想と哲学を巡る研究全体を包括する視野を獲得することができた。これは、東アジアの「即」思想に二つの区別を見て取り、そのうちの一つを「空」の思想と重ね合わせるという理解である。この見地に立つことで、空の論理・思想の解明のみならず、それらと即の論理・思想との連関をも明らかにすることができた。 また分析アジア哲学のネットワークを当初の予定であった東アジアのみならず、東南アジア(シンガポール)、南アジア(インド)にも展開しえたのみならず、ニューヨークでのワークショップ・シンポジウムに参加することで、北米の研究者とのネットワークを構築する糸口をも得た。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、空の論理と思想についての単著の執筆を進めるとともに、オックスフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、ヒルデスハイム大学(ドイツ)、延世大学(韓国)、東呉大学(台湾)、ウプサラ大学、国立政治大学(台湾)等において、空の論理・思想と分析アジア哲学に関する研究発表・講演を行なう。また、空の言語哲学に関する英語論文を英文論文集に寄稿し、インドの言語哲学に関する論考を和文論文集に寄稿する。さらに、分析アジア哲学に関する英文の研究書(共著)の編集、英文の教科書(共著)の編集にも携わる。
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Research Products
(16 results)