2015 Fiscal Year Annual Research Report
空の論理の再解釈:分析アジア哲学の東アジアネットワークの構築
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25370017
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
出口 康夫 京都大学, 文学研究科, 教授 (20314073)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空の論理 / 分析アジア哲学 / 非古典論理 / 真矛盾主義 / 国際的研究ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東アジアの伝統的な「空の論理」を、現代論理学の観点から解明する一方で、分析アジア哲学の国際ネットワークを構築することが目指された。最終年度においては、過去三年間の「空の論理」研究の集大成として、分析アジア哲学を代表する海外の研究者との共編著 Moon Points Back をオックスフォード大学出版会から出版した。同書には中国の三論思想と京都学派の哲学者・西谷啓治における「空の論理」の定式化と、その新展開を試みた英語論文を寄稿した。同書は、国際的な書評誌 Notre Dame Philosophical Reviews でも取り上げられ、高い評価を受けた(Siderits 2015 https://ndpr.nd.edu/news/60956-the-moon-points-back)。本年度では、本研究に関わる英語の研究発表を海外国際学会等で計12回行なった。訪問先はアメリカ合衆国・イギリス・ドイツ・イタリア・スウェーデンといった欧米諸国や、韓国・台湾といった東アジア諸国に加え、タイ王国も含まれている。また昨年度には、インド・カルカッタの二大学とシンガポール国立大学を訪れ、分析アジア哲学の講演を行なうとともに、今後の研究協力についての協議を行なった。結果として、東アジアにおける研究ネットワーク構築という本研究の当初の意図を超えて、南アジアや東南アジアをも視野に入れたネットワークが構築された。このネットワークは早々に機能しはじめている。例えば、シンガポール国立大学と国立政治大学(台湾)と、研究代表者が所属する京都大学の間で、三大学の合同国際会議が過去三回開催され、代表者は、分析アジア哲学に関する講演を三回行った。また国立陽明大学(台湾)の研究者から、本研究に密接に関わる「真矛盾主義と仏教思想」に関する、共同研究プロジェクトの申し出をも受けている。
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Research Products
(17 results)