2014 Fiscal Year Research-status Report
幸福概念の理論的基盤の再構築―その文化的多様性と歴史的重層性の批判的検討を通じて
Project/Area Number |
25370026
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
佐藤 啓介 南山大学, 人文学部, 准教授 (30508528)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 清紀 富山国際大学, 地域交流センター, 客員教授 (20228886)
奥田 太郎 南山大学, 人文学部, 准教授 (20367725)
森川 輝一 京都大学, 国際公共政策研究科, 教授 (40340286)
宮野 真生子 福岡大学, 人文学部, 准教授 (40580163)
佐藤 実 大妻女子大学, 比較文化学部, 准教授 (70447671)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 幸福 / 倫理学 / 思想史 / 比較哲学 / 不幸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、当初の計画通り、東西の近代思想、政治思想および日本思想、西洋宗教思想の三領域のユニットのもとで、従来の幸福概念の批判的再検討を進めた。25年度の成果にもとづき、26年度においても、コア研究会を計3回実施し、各ユニットごとに研究の経過報告を行うとともに、仏教思想を専門とする研究協力者の招聘により外部からの視点も取り入れつつ、次年度の報告書作成に向けた研究の集約の段階に進んでいる。 東西の近代思想の研究ユニットにおいては、両思想的伝統において幸福の内実がどのように規定され理論づけられてきたのかが集中的に研究され、とりわけ現代の哲学的幸福論との接点と差異とがそれぞれどこにあるのかが明確化された。政治思想・日本思想のユニットにおいては、国家、共同体や家という公私にわたる社会領域において幸福が問われる際、技術や自然といった、間主観的な問題軸を通して幸福を哲学的に問うことの有効性が示された。西洋宗教思想ユニットにおいては、災害に代表される不幸に対してどのように理論的な対応をしてきたかが、幸福論の存立意義を考えるうえで決定的な意義をもつことが明らかにされ、特にキリスト教思想における弁神論の新たな解釈がユニット内の研究者の連携によって示されている。 各ユニット内での調整を行いつつ、全体の共同討議を重ねて相互の共有を図るとともに、これらの研究成果の一部は、各ユニット内の個々の研究者による単著・論文として公刊されている。なお、直接の研究分担者ではないが、上述の研究協力者がコア研究会内にておこなった講演も論文などによって発表されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した予定に沿い、研究代表者および分担者が所属する各ユニット内での研究課題を遂行し、報告書に向けた論考を準備するとともに、各自の成果を論文等によって発表している。また、予定通り、他分野の研究協力者を交えたコア研究会を3回開催し、研究発表および共同討議を実施できている。研究代表者の所属変更に伴い、成果公開のためのウェブサイト構築のみ遅れがでているが、現在準備中であり、全体としておおむね順調に研究は進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度の研究成果を踏まえ、当初の予定通り、各自が研究を進めながら、2回程度の論考検討会・報告会を実施し、共同成果報告書を完成させる。その成果を公開するとともに、一般向けの共著論文集(現在、すでにその内容を検討中である)を出版し、3年間の共同研究の成果を広く学界内外に問うことを目指す。
|
Causes of Carryover |
研究分担者数名が、3回にわたるコア研究会において、公務ないし体調不良などの理由により日程すべてに参加できないことがあり、その結果、出張に伴う旅費に若干の未使用金額(全体の約2%)が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額が発生した各研究分担者において、物品費(主に書籍購入費に充てる)として計上する。
|
Research Products
(17 results)