2016 Fiscal Year Annual Research Report
Walter Benjamin's Philosophy of History and its connection to the subject in German
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25370037
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
森田 團 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (40554449)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ベンヤミン / 歴史哲学 / 終末論 / ヤーコプ・タウベス / エルンスト・ブロッホ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はベンヤミンの歴史哲学を終末論の関係を重視して読むことを試みた。その際、ヤーコプ・タウベスの『西洋の終末論』を終末論一般の理解の基盤として援用し、またベンヤミンに影響を与えたフランツ・オーヴァーベックの遺稿『キリスト教と文化』とその他の論文を重視した。その際、浮かび上がったのは、ベンヤミンの歴史哲学が終末を、来るべき未来でも、到来しつつあるものとしてでもなく、瞬間との関係において思考しようとしていることである。この瞬間が現在とどのような関係をもつのかについての検討は次なる課題としたい。また本年度はイタリア・ヴェローナ大学でベンヤミンのゲーテ解釈についての発表を行ったほか、日本現象学会においてベンヤミンのイメージ論について発表を行った。 研究期間を通じて、ベンヤミンの歴史哲学をライプニッツ以来の哲学的伝統との関連において考察することを試みたが、関連文献の渉猟と読解は十分に進捗した。中心となった問題意識は、言語哲学、イメージをめぐる思考、神学的思考と歴史哲学と関係であった。イメージをめぐる思考に関しては、ブロッホのイメージ論がベンヤミンの歴史哲学へ大きな影響を与えていることが明らかになったのは大きな収穫である。この関連では19世紀末から20世紀初頭のドイツにおけるイメージ論と想像力論についての読解もすすみ、以上を基盤にベンヤミンの「弁証法的イメージ」の概念を再解釈する試みを開始することができた。 ライプニッツとの関係に関して言えば、「翻訳者の課題」における言語を生として捉え、生を歴史から規定するという発想をモナドロジーから解釈可能である見通しを得ることができた。ベンヤミンは一言語の固有性・個体性を志向性が担う表現によって理解しようとしているからである。このことは言語哲学と歴史哲学との関係をライプニッツ哲学から検討する可能性を開いた。
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Research Products
(3 results)