2013 Fiscal Year Research-status Report
註釈文献から見た後期インド密教における教理と実践の関係に関する研究
Project/Area Number |
25370059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
種村 隆元 大正大学, 付置研究所, 研究員 (90401158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 和雄 高野山大学, 文学部, 准教授(Associate Professor) (00509523)
倉西 憲一 大正大学, 付置研究所, 研究員 (90573709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インド密教 / 教理 / 実践 / 註釈文献 |
Research Abstract |
今年度は本研究課題の紹介を兼ね,主たる研究対象の『パドミニー』に関する諸資料を概観する論文を,研究代表者・研究分担者3名の共著で著した. 個別には,代表者の種村は『パドミニー』第22章のサンスクリット語原典の校訂テキストおよび校訂に関する註を論文として発表した.分担者の倉西は,今年度は特に『パドミニー』第13章を中心にその校訂テクスト作成と読解に従事し,その前半部のサンスクリット語校訂テクストを研究成果として論文発表した.分担者の加納は,下に述べる国内外の研究会・ワークショップへの参加,写本調査を積極的に行うとともに,『パドミニー』の末尾偈の読解を行った. 国内研究会に関しては,11月に2回(東京および高野山),1月に1回(東京),3月に1回(京都)開催し,代表者と分担者とともに,『パドミニー』および関連文献の精読を行った.また,東京・京都の研究会では連携研究者の苫米地等流が,京都の研究会では来日中のGregory Seton(オックスフォード大学大学院)および連携研究者のSomdev Vasudeva(京都大学)が参加した. さらに分担者の加納,倉西の両名は9月にイタリアで行われたManuscripta Buddhica Workshopに参加し,海外研究協力者であるAlexis Sanderson(オックスフォード大学), Harunaga Isaacson(ハンブルグ大学), Francesco Sferra(ナポリ東洋大学), Peter Szanto(ハンブルグ大学)を始めとした海外研究者と『パドミニー』第13章を講読した.この成果の一部は倉西により上述の論文として発表されている.加えて2月にはカトマンドゥでの写本調査を行い,貴重なサンスクリット語原典写本のカラーデジタル画像を入手することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度研究実施計画に示したように,『パドミニー』第1章(序章),第18章(灌頂儀礼)の校訂テキスト作成の作業を行ったが,多少計画を前倒しにして,平成26年度に作業を予定してた第13章(生起次第)のうち前半の校訂テキストと第22章後半(尊像奉納儀礼)の校訂テキストを出版することができた.これで計画に多少の時間的余裕が生まれ,作業のスピードアップが期待される. また,当初は計画になかった,『パドミニー』の研究史,新たに同定された写本を含む『パドミニー』サンスクリット語写本の情報,チベット語訳に関する情報に関する論文を出版することができた.当該論文は,本研究課題を広く学界に一般に周知させることになると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は,昨年度同様,研究代表者1名,研究分担者2名,連携研究者3名,海外研究協力者4名の体制で,引き続き『パドミニー』のサンスクリット語校訂テキストならびに訳註の作成を中心とした研究を継続する. 具体的には,平成26年度中に,第1章前半部(序章)のサンスクリット語校訂テキストおよび訳註,第13章(生起次第の瞑想法)後半のサンスクリット語校訂テキスト,第18章(灌頂)のサンスクリット語校訂テキスト,第22章前半(密教経典の量等)のサンスクリット語校訂テキストおよび訳註,第22章後半(尊像奉納儀礼)の訳註の出版を計画している. また,上記の研究及び出版を促進するために,平成26年度は国内研究会を2回(東京と京都を予定),および海外での研究協力者との研究会(ハンブルグ大学においてHarunaga Isaacson教授との研究会を予定)を計画している.また,各自が国内外の学会(日本印度学仏教学会等)に出席し,研究成果を発表するとともに,関連分野の情報収集に努めることとする. さらに,関連資料および消耗品などを購入し,各自の研究環境を整えるとともに,関連資料のテキストデータベース作成を行う計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者,分担者ともに国内外出張費が予想より使用額が少なかったことと,購入すべき図書が予想より少なかったことが繰り越しの原因である. 繰り越し額は研究会と資料の充実のため出張旅費と図書資料の購入に充てる計画である.
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