2016 Fiscal Year Annual Research Report
Eight heresies in Jainism
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25370065
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Research Institution | Chikushi Jogakuen University |
Principal Investigator |
宇野 智行 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (40331011)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ジャイナ教 / 異端 / ニフナヴァ・ヴァーダ章 / ガナダラ・ヴァーダ章 / ジナバドラ / 原子論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,「ニフナヴァ・ヴァーダ」第5章から最終章までの読解を中心に作業を進めた.また『アーヴァシュヤカ・チュールニ』における当該部分の電子化作業を完了し,そのうちの第6章についての読解を進めた.第6章にはヴァイシェーシカ学派の祖となったと言われるローハグッタの見解として,「ジーヴァ」「アジーヴァ」「ノージーヴァ」の三実在説が説かれている.この異端に対してはサマビルーダ・ナヤによる考察が展開されており,合わせてヴァイシェーシカ学派とほぼ同じ六句義説もナヤを通じて批判されていることが明らかとなった.この存在論に関する議論は,「部分と全体」というインド哲学における重要な論争の非常にプリミティブな形態を示している. さらに, 「ニフナヴァ・ヴァーダ」第6章の原子説と関連し,「ガナダラ・ヴァーダ」第4章における四元素(地・水・火・風)実在説,四元素および植物の有精神説該当箇所の読解を進めた.後者の有精神説については,ジナバドラこそが有精神説論証について明確に論証式を提示した最初期の論者であることが明らかとなった.聖典『アーチャーランガ』は単に人間と植物の類似性を指摘するのみであり,ジナバドラに先行する『ヴァースデーヴァ・ヒンディー』も植物の異常嗜好(dohada)の例を挙げて,人間と類似していることを記述するのみである.ジナバドラはこれら先行文献を承けて三支作法により論証式として提示し,後の有精神説論証の基礎を作ったことが明らかである.
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