2015 Fiscal Year Annual Research Report
自然神学の言語論的転回とその社会科学への拡張─聖書・環境・経済─
Project/Area Number |
25370070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
芦名 定道 京都大学, 文学研究科, 教授 (20201890)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自然神学 / 社会科学 / 言語論的転回 / 聖書解釈 / 近代日本 / キリスト教 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度における本研究の成果としては、次の点が挙げられる。 1.27年度は本研究の締めくくりとなる最終年度であり、「言語論・聖書解釈を介した自然神学の社会科学への拡張」をめぐる3年間の研究の総括を行った。まず、「言語論・聖書解釈」に関しては、キリスト教思想における最近の言語論の展開を、象徴論、隠喩論、テキスト理論との連関において検討し、それを聖書的テキスト(イエスの譬え)へ適用する試みを行った。それによって、イエスの譬えを社会教説(経済的問題)と関連づけることが可能になった。次に、自然神学を社会科学へ拡張することに関しては、京都大学と東京大学で行った講義の中で、具体化がなされたが、その一端は、2015年に歿後50年を迎えたキリスト教思想家パウル・ティリッヒに関する論文(研究発表の欄に記載)において、生の現象学からエコロジーの神学への展開として示すことができた。 2.この3年間全体の研究成果として、次の二つの報告書を作成し、関係する研究者に寄贈した。 ・「自然神学の言語論的転回とその社会科学への拡張─聖書・環境・経済─」(平成25~27年度科学研究費補助金 研究成果報告書) ・「近代日本とキリスト教思想の可能性─二つの地平が交わるところにて─」。この報告書(三恵社より出版)は、平成25~27年度の研究費による研究成果に加えて、それに先立つ研究成果を合わせた内容になっており、この報告書によって、自然神学の拡張を東アジア(日本)の文脈で具体化するという本研究テーマについて、方法論な諸問題を総括することがなされた。
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