2013 Fiscal Year Research-status Report
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25370082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
井柳 美紀 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (50420055)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シティズンシップ教育 / 政治教育 / 民主主義教育 |
Research Abstract |
本研究は、現代におけるシティズンシップ教育への理論的かつ実践的関心を基礎とし、政治思想史研究における政治と教育の関係について、特にデモクラシーの主体となる能動的な市民性の育成という観点から考察を行うものである。本年度は、主として十八世紀フランス政治思想における政治と教育をめぐる問題を考察した。(1)ルソーの政治教育に関する論文「ルソーにおける政治と教育―市民の徳と共同体」においては、人民主権論の前提となる市民的資質をめぐる諸問題についてルソーの思想全体の多角的な検討を行い、『学問芸術論』、『社会契約論』、『エミール』、『ポーランド統治論』などの著作を対象としつつ、国家と教育の関わり、公教育のあり方や教育体系、共同体における市民の徳性や政治的資質をめぐる諸問題について考察した。(2)コンドルセに関する小論は、コンドルセにおける教育の中立性と政治的判断力に関して取り上げたものである。(3)共著の論文「デスポティズムと反デスポティズム ――絶対君主政下における権力と自由」は、17-18世紀のフランスにおける政治思想を主たる対象ととし、デスポティズムに抗する政治思想的伝統をモンテスキュー、ヴォルテール、ベールらの思想における権力論、宗教観を通して探求したものであり、政治権力のあり方を被治者の資質との関わりにも着目して論じた点で本研究の成果が活かされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近代フランス政治思想における政治教育に関する論文などを予定通り公表し、また次年度に公表予定の論文を既に執筆している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、近代フランス政治思想に加えて、民主政治の進展する時代の政治教育論として、J.S.ミルや功利主義者などの議論を取り上げ、公教育制度を通しての政治教育の問題、さらに地方自治や陪審員制度などを通しての政治教育に関わる諸問題などを取り上げ、広く近代政治思想における政治教育をめぐる諸相を分析する方向である。
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Research Products
(3 results)