2015 Fiscal Year Annual Research Report
《ベルリン精神》の内的相剋としてのシュライアーマッハーとヘーゲルについての研究
| Project/Area Number |
25370090
|
|---|
| Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
|---|
Principal Investigator |
安酸 敏眞 北海学園大学, 人文学部, 教授 (40183115)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | シュライアマハー / ヘーゲル / キリスト教 / ベルリン精神 / 絶対依存感情 / 信仰論 / 敬虔 / 弁証法 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、草創期のベルリン大学で活躍したシュライアマハー（申請書には「シュライアーマッハー」と表記）とヘーゲルという二大巨匠にスポットを当て、彼らに通底する≪ベルリン精神≫の思想的特質を解明すると同時に、宗教・歴史・生・理解に関する彼らの捉え方の相違を明らかにすることを目指していた。
最終年度の平成27年度は、過去二年間の研究によって浮き彫りになった思想対立を、彼らの生の軌跡にまで遡って考察し、生のコンテクストと思想のテクストとの間の相関関係を剔抉することに努めた。
シュライアマハーの主著『キリスト教信仰』の読解・翻訳は継続したが、諸般の事情が重なって当初計画していたところまでは進まなかった。しかしこの大著を読み解く上で決定的に重要な小著『『信仰論』に関するリュッケ宛ての二通の書簡』は、これに詳細な注と解題を付して翻訳し、一方でこれを研究成果報告書として印刷に付すと同時に、他方でこれをさらに加工して『『キリスト教信仰』の弁証―『信仰論』に関するリュッケ宛ての二通の書簡』として知泉書館から8月に刊行した。
それとは別に、シュライアマハーとヘーゲルの生の軌跡を辿るために、夏休みを利用してドイツを訪れ、ヘーゲルの生地シュトゥットガルト、彼が青年期のひとときを過ごしたイェーナ、シュライアマハーが大学人として最初に過ごしたハレなどで実地調査を行った。また本研究のテーマをより広い見地から検討するために、ミュンヘンおよびその他の地で複数のドイツ人研究者に会って意見交換した。
以上の研究活動によって主要な点はほぼ明らかにできたが、本研究テーマの裾野は限りなく広範であり、その全貌を見通すためには更なる研究が必要であることが判明した。かくして、今回の研究期間中に解明できなかった部分については、次年度以降の新たな研究プロジェクトに継続されることになった。
|
Research Products
(2 results)
