2016 Fiscal Year Annual Research Report
Japanese Historiography from the Asian Perspective: The Position of Buddhist Cultural Relics as a Key to Understanding
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25370097
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
佐藤 文子 佛教大学, 歴史学部, 非常勤講師 (80411122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 一彦 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (40230726)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歴史叙述 / 宗教 / 黒板勝美 / 関野貞 / 国際交流 / 韓国美術史 / 国家仏教 / 国史 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、日本古代史や日本美術史・外交史・宗教史などの学問史についてアジアという射程から思想史的に分析する研究である。それぞれ専攻が異なる在外研究者二名を含む四名の研究班で調査と研究を進め、現地現物調査によって確実な新知見を獲得しつつ、対象をめぐる学問史の議論を組み合わせたことで独創的な成果を出すことができた。 2013年度から2015年度までは、調査と研究会開催を中心に活動し、2015年度には、日本思想史学会大会パネルセッション「国史学とアジアと仏教文物」に四名が登壇、漢学的方法論の影響下にあった日本の人文知に、明治維新以降変動が起こり、日清戦争の戦勝などを経て、近代の日本特殊論が成立していく過程を各分野にわたって発表した。 2016年度は調査データ整理作業および研究成果公表のための活動に取り組んだ。研究代表者佐藤文子は、京都大学人文科学研究所共同研究班「日本宗教史像の再構築」第21回公開研究会「日本仏教史像を解きほぐす」においてパネリストとして登壇し、近代日本においてあるベクトルをもって構築された〈鎌倉仏教〉論や〈近世佛教堕落〉論らとの関係性を掘り下げながら近現代史のなかで展開した〈国家仏教〉論について論じた。研究分担者吉田一彦は、当該科研の全体の成果をうけて『日本書紀の呪縛』の刊行を果たした。また在外研究協力者池美玲は「韓国における日本仏教研究」を、おなじく手島崇弘は「歴史教科書のなかの入宋僧・日宋関係」を論文化した。 当該科研の活動全体について、研究がきわめて順調に進み、成果を得たのは、領域横断的連携が理想的に展開したことが大きい。とくに近代仏教研究者、宗教学者、在外研究者との共同と意見交換が、問題設定自体を大きくしていく効果をもたらした。共同研究者らはすでにあらたな知見と方法論を自身の専門分野にフィードバックして研究に取り組んでいる。
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Research Products
(14 results)