2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
北野 孝志 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 准教授 (20390461)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 技術哲学 / ドイツ / エルンスト・カップ / フリードリヒ・デッサウアー / 第2次世界大戦 / 三木清 / 三枝博音 |
Research Abstract |
ドイツで刊行された技術哲学の概説書等を概観し、それらを参考に検討する文献についてある程度ピックアップするとともに、その初期の頃からの思想の検討を開始した。まず、初めて「技術の哲学」という書名を用いたE.カップ、そして20世紀前半のドイツにおける技術哲学を本質的に規定したとされるF.デッサウアーの技術哲学を中心に、すでに入手していた資料を詳細に検討しつつ、その当時のドイツにおいて何が重要な論点になっていたのかを明確にするとともに、日本における評価にも触れる形でまとめ、「カップの技術哲学」「デッサウアーの技術哲学」という2本の論文を発表した。特に「デッサウアーの技術哲学」においては、第2次世界大戦との関係においてデッサウアーの思想がどのような役割を果たしたのかを明らかにした。 ところで、かつての日本においては、ドイツの技術哲学研究の流れにも呼応する形で、第2次世界大戦前後に技術哲学が研究され、邦訳についても多数刊行され、技術哲学をタイトルとする著書も出版されていた。そこで、特にドイツの技術哲学を受容しつつ、技術とは何かについて深く思索を重ねた三木清と三枝博音の思想を中心に、ドイツの当時の技術哲学と比較しつつ、彼らがドイツの技術哲学をどのように受容し、どのような批判から独自の技術論を展開しようとしているのかを考察し、その成果を「三木清と三枝博音の技術哲学―日本におけるドイツ技術哲学の受容という観点から」と題して学会で発表した。 さらに、東京の国立国会図書館やドイツ・ベルリンの国立図書館等の利用を通して、絶版などの理由で入手困難になっている第2次世界大戦以前あるいは直後のドイツの技術哲学に関する資料を閲覧したり必要に応じてコピーしたりして、当時の技術哲学の思想やその歴史的背景について考察し、その成果を「戦争と技術哲学―技術哲学への一視点」と題して学会発表することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者との仕事の分担・作業が滞り、その遅れにしたがって資料調査・資料収集の日程も予定より遅くなってしまった。その他すでに入手している資料を使っての研究に関してはおおむね順調ではあるが、上記遅れて始められた研究に関しては一部次年度に引き継がれ、研究成果としても遅れて発表することになる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き昨年度入手した資料を検討することによって、特に第2次世界大戦後のドイツの技術哲学について研究する。その際、ハイデガーの思想などとともに、ゲーレンを含めたいわゆるVDIの哲学者たちの思想を考察し、特に60年代や70年代において環境の問題など技術をめぐる様々な問題が新たに焦点を当てられるようになった中で、どのような議論が展開されていたのかを明らかにする。また、フランクフルト学派などの思想とも関連づけて考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力者との分担・作業が遅れたこともあり、謝金について全て使い切ることができなかった。その作業をより進め、それに対する謝金としてあてるために、使わなかった分を次年度へ回した。 主に研究協力者の謝金として使用し、遅れた分の作業をより進める。図書購入としての物品費や、資料収集、さらには学会発表のための国内旅費やドイツへの旅費も大きな部分を占めるので、翌年分と合わせて不足した分を補うためにあてることも考慮に入れる。
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Research Products
(4 results)