2015 Fiscal Year Research-status Report
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25370098
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyota College |
Principal Investigator |
北野 孝志 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 教授 (20390461)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 技術哲学 / テクノロジー・アセスメント / 技術評価 / ドイツ / VDI / 技術倫理 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究の成果として、応用哲学会で「技術哲学の過渡期としての60~70年代」という研究発表を行った。そこでは、技術哲学の過渡期といわれる時代に、技術哲学研究者の間でどのような議論がなされていたのかを明らかにした。 その際、新たな課題としてドイツにおけるテクノロジー・アセスメント(TA)への取り組みと、それに対する技術哲学研究者の貢献という問題が浮かび上がった。そこで、ドイツにおけるTAに関する取り組みについて調べるために、今年度も東京の国立国会図書館やドイツ・ベルリンの国立図書館を利用し、文献を閲覧したり、必要に応じてコピーしたりした。さらに、この調査の過程でドイツの技術哲学の文献の中に、TAに関するものが非常に多く、ドイツ連邦議会技術評価局に関わっている哲学者もいたことから、こうした点についてさらに研究を進め、ドイツのハーゲン放送大学べドルフ教授にも文献収集などの面で協力してもらい、研究に関する情報交換を行った。また、本年度もドイツ・デュッセルドルフのドイツ技術者協会(VDI)本部を訪問し、インタヴューを通してVDIの技術評価への取り組みと日本の状況について情報交換した。 ドイツにおける技術評価の制度は、アメリカや他のヨーロッパ諸国のそれとは異なり、固有の歴史と特徴を持っており、制度化とは程遠い日本の状況において参考になることも多く、こうした取り組みへの哲学者の貢献についても示唆を与えてくれるものである。こうした点について、研究成果として「技術評価の問題に関する哲学の貢献について」と題した研究発表を行うことになった。 一方、こうした研究と並行して、前年度の研究成果の一部でもある、VDIの中央部会「人間と技術」で活躍したクラウス・トゥッヘルの思想について、「人間と技術―トゥッヘルの技術哲学」と題した論文にまとめ、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を進めていく中で、思った以上に技術哲学に関する資料が多いことが判明し、その数だけでなく、研究内容の広がりも加わり、研究協力者の翻訳等での助けはあるものの、まだ時間が必要な状況であると認識した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究課題の最終年度であり、研究成果を何らかの形でまとめたいと考えているが、ところどころ不十分な部分もあり、質・量含めてどれくらいのものにするのかをもう少し検討する必要がある。いずれにせよ、本研究課題に沿った形でまとめ、一部については今後の研究課題としてつなげていくような仕方で対応策を考えたい。
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Causes of Carryover |
東京の国立国会図書館やドイツ・ベルリンの国立図書館の利用等によって旅費としての支出が増えたものの、研究協力者に対する謝金としての支出があまりなかった。これは、研究協力者の交替もあり、翻訳作業の分担等でなかなか思い通りに作業が進まなかったからである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度ということもあり、冊子にまとめる際の費用が必要となる。そこで、次年度使用額で、他の項目に使う必要が出て来なければ、極力その費用にあて、よりよいものとなるように努力する。
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