2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370100
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長木 誠司 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50292842)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オペラ / ジャポニズム / メディア・イヴェント |
Research Abstract |
「ジャポニズム・オペラ」の範囲確定と、それらのうち対象となる諸作品の分析的な調査を行うとともに、作品と時代をまず19世紀に限って、各作品、およびそれらの背景となる社会文化等々、関連事象の調査を行った。 まず初年度として、既存のデータベースを利用して、19世紀から20世紀末までの間の「ジャポニズム・オペラ」の領域確定を行った。これまで知られていない作品のタイトルも判明したが、逐一対象とすべき「ジャポニズム・オペラ」に含まれるかどうかを逐一調査し、該当する作品の全体像を把握する作業を行った。 その上で、19世紀に上演史のある作品について、台本を音楽面、そしてテクストの単語やプロット単位でデータベース化し、比較と対照の上で、相互連関の可能性を統計的に割り出した。さらに、描かれている日本像の成立に関し、当時の日本文化の紹介と浸透度など、これまでにメディア研究の分野で調査されたことのある要素だけではなく、政治的な意図性も関わっているろいう見地から、その成立周辺に生じている一般的な日本像を、政治史、メディアでの扱い、文学や絵画といった他の芸術ジャンルの調査のなかで解釈することを、インターテクスト性を中心に試みた。 さらに、本研究がオペラやオペラ像の歴史的記述として重要視するメディア・イヴェント性がどのように「ジャポニズム」という主題の周辺に広がっているのか、それをまずは国内で入手できる資料を中心にして重点的に探った(実地調査は次年度に送ることにした)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提出した「研究の目的」に関する達成度は、ほぼ順調に消化しており、とくに大きな問題や障害はなく研究が進んでいる。 「おおむね」というのは、初年度に予定されていたイギリスへの資料調査を、第2年度に先延ばししたためである。理由としては、初年度の進捗具合から判断して、2年度に調査に出かけた方が実りが多いと考えられたからで、初年度はその代わりに、近年ドイツにおいて見直されているサリヴァン研究を見るために、バイロイトおよびオペラ研究で実績のあるバイロイト大学に場所を変更して調査を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度は、昨年に行えなかったイギリスでの調査を実施する。ブリティッシュ・ライブラリーに所蔵されているサリヴァンの一次資料を、上演の周辺的なことがらに関する資料とともに調査すると同時に、オールドバラのブリテン研究所にも足を向け、《カーリュー・リヴァー》のような、ジャポニズムと微妙に接する作品の調査も行う予定である。 基本的に、国内での研究は昨年のものを継続して、20世紀にまで広げていくことになる。 課題・変更等で特記すべきことはない。
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Research Products
(10 results)