2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25370100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長木 誠司 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50292842)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ジャポニズム / オペラ / 文化触変 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年までの成果を踏まえて、オルフの《寺子屋・犠牲》、ヴァインガルトナー《テラコヤ》といった、「ジャポニズム・オペラ」の最終的な形態を引き続き検討し、ようやくダルムシュタットで初演された前者と、両作を並べて上演したベルリンでのプロダクションといった、最近の上演形態を参考にしながら、現在まで続くステロタイプ的な日本像や、数々の「誤解」に関して改めて検討した。 同時に、前年度までに採り上げた作品についても、いまいちど異なった側面から検討した。具体的には《蝶々夫人》に続く、日本におけるメディア・イヴェントの状況をまとめたのと、《ミカド》の、ロンドンではなく、それに続くベルリンでの状況を調査し、当時の博覧会場での、日本に関するメディア・イヴェント的な催しの実際の姿を調査しながら、同時にそれが《ザ・芸者》以降の、ジャポニズム・オペラの、意外なまでのドイツ語圏での人気に大きな影響を与え続けたことを確認した。 作品分析の方法論に関しては、前年度までと変わりなく、インターテクスト性がひとつの視点となった。プロットや音楽部分の引用元、応用の起源などを、主として台本、楽譜、初演当時の批評、新聞記事、作品論などに当たりながら調査した。 最終年度であるため、過去2年の成果を踏まえながら、研究会での発表を行い、また10月に刊行された『オペラの20世紀 夢のまた夢』(平凡社)のなかで、記述に盛り込んだ。これらの成果が、日本でまだまだ不足している若きオペラ研究者への刺激となることを望んでいる。
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Research Products
(3 results)