2014 Fiscal Year Research-status Report
民謡現地録音資料データベース化の方法の研究―沖縄民謡を中心に―
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25370109
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Research Institution | Okinawa Prefectural University of Arts |
Principal Investigator |
金城 厚 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 教授 (50183273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久万田 晋 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 教授 (30215024)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民族音楽学 / 沖縄民謡 / 民謡録音のデータベース / 音楽情報アーカイブズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東京芸術大学所蔵の沖縄民謡現地録音資料(90分カセットテープで1300巻)をデジタル化し、これをデータベースとして整備することにより、広く公開可能なアーカイブを構築することを目的としている。当初計画したアーカイブが完成すれば、膨大な量の沖縄民謡現地録音資料が、多くの研究者によって利用可能になり、沖縄民謡の研究に、さらにはその伝承の振興に、大きく寄与することができる。 研究第2年度にあたる平成26年度においては、録音資料デジタル化完了以後の、関連するデータのデジタル化を行った。原録音媒体(カセットテープ)ごとの内容を示すメモ表示1300件について、これを写真化し、PDFファイルとしてデジタル化する作業を進め、おおむね完了した。これにより、録音データとそのメタデータの両方が揃ったことになる。 同年度末現在は、録音データ(WAVファイル)とメタデータ(PDFファイル)の両方を資料台帳のエクセルファイルにリンクを貼っていく作業に着手しており、継続している。同年度はさらに、これをアーカイブ化するためのコンセプトと方法について検討を加え、一定の展望を得た。すなわち、演唱者による許諾の問題については、録音取材当時、研究目的に使用することと、伝承の保護を目的を説明して録音していたことから、研究者向けに、および現地の伝承者向けには積極的に提供していくこと、メタデータはウェブ公開するが、音データは来所利用のみに限定することでトラブルを避ける、このような民謡データベースを所蔵する諸機関がデータベースを共有するネットワークを構築すること、について発表・提案した。 これについては、日本民俗音楽学会の大会において発表し、多くの学会員から支持・賛同を得た。併せて国立民族学博物館の研究プロジェクトからも招待講演の要請があるなど、諸方面からの期待が高いことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までは、個別曲ごとのサウンドファイルを切り出す作業を計画していたため、膨大な作業時間が予想され、遅れが見込まれたので、方針を変更し、上記作業を断念し、メタデータをより簡略に設計することで、本研究の作業時間を短縮するとともに、民謡データベースを所蔵する他の研究機関との連携による付加価値の向上を目指すことにした。 この変更により、新たな研究内容が加わったが、作業量を大きく減らしたので、最終目標に対する進捗状況としては、おおむね順調と言える状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.データベースの作成作業においては、「録音台帳」に音データのWAVファイルと内容メモのPDFファイルをリンクさせる作業を進め、外部者が利用しやすいようなウェブサイトとしての洗練を加えていくことが課題となる。 2.他機関との連携企画については、(1) 互いに参照可能な「録音台帳」のフォーマットを模索していくこと、(2) 録音のデジタルデータをどのようなハード環境で共有するかについて方針を固めること、(3) 利用・提供に関する協定書を確定していくこと、の3点が課題となる。これらについては、いずれの項目も他機関との協議を進める。当面、東京芸術大学と国立民族学博物館の2機関との協議を進める。
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Causes of Carryover |
物品費、旅費はすでに予算を十分に執行しているが、人件費、謝金が予算の半分のペースの執行となっていることにより、繰り越し額が生じた。人件費が少ないのは、データベース作成作業に携わる大学院生などの専門的補助者が十分に確保できなかったことによる。これにより、作業が当初計画よりも大幅に遅れた。研究計画において、サウンドファイルの切り出し作業を断念したのもそのためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画において、他機関との連携を深めるための研究を加えたので、他機関との連絡・打ち合わせのための旅費を増やす計画である。また、他機関の研究者を招いてシンポジウムを開催する計画であるので、発表者招聘のための旅費にあてる計画である。 以上のように、前年度までの人件費の残額を新たな旅費の需要に充てつつ、作業にあたる大学院生等の確保に力を入れて、研究計画の完遂を期したい。
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Research Products
(4 results)