2013 Fiscal Year Research-status Report
日本の演劇近代化とイプセンを中心とした19世紀末ヨーロッパ演劇の関係
Project/Area Number |
25370111
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
毛利 三彌 成城大学, その他部局等, 名誉教授 (10054503)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 演劇近代化 / イプセン / 国際情報交換(アジア各国) |
Research Abstract |
日本の演劇近代化に関する発表(題目:The Way to Shingeki)を、国際演劇学会(IFTR)バルセロナ大会におけるアジア演劇ワーキンググループのパネルで発表した。これは、いわゆる新劇の成立過程における3つの段階を代表する3人の重要人物の仕事を中心として、演劇近代化の問題点を検討したものであるが、それをめぐって約一時間、各国の研究者と討論した。この論文を含め、2010年度11年度12年度の同大会アジア演劇ワーキンググループでの発表の内容をまとめた論文が、中国語に翻訳されて、北京の中央戯劇学院機関誌に掲載された(『戯劇』2013年第3期)。 また、このアジア演劇ワーキンググループは、アジア演劇近代化の論文集発行を企画しており、2014年3月に大阪で、各国からの論文執筆者が集まって討論した。私の論文「演劇近代化とは何か」は、イントロダクションの一部として執筆されているが、その内容をめぐって、活発な意見が交わされ、各研究者の演劇近代化についての理解が深まった。このグループの研究会議は、2014年7月のウォーリック大学でのIFTR大会でも行われる予定である。 日本のイプセンに関しては、2013年11-12月に東京で開催された国際現代イプセン演劇祭の芸術監督として、全体の企画監修とともに、外国から招聘された舞台の字幕を監修。これまでのイプセン現代劇連続演出(1999-2012年)の際に作成した台本は、私のイプセン研究の成果が反映されたものだが、それらの台本を一冊の本にまとめ出版した(『イプセン現代劇上演台本集』論創社、2014年3月)。この成果は、イプセン舞台二つ(ホリプロ制作および山の手事情社制作)でも、参考にされた。 また、演劇の構造論に関する英文論文執筆を依頼され、2014年2月に、各国からの論文を集めた論文集が刊行された。 なお、オスロでのイプセン資料研究は次年度に延期した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
演劇近代化に関する議論で、国際交流を活発に行い、論文発表も可能であった。日本のイプセンについての研究も、その上演とのかかわりで、成果をあげることができた。残された課題は、ヨーロッパの近代演劇と、日本の演劇近代化とイプセンのかかわりについて研究を進めることである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、日本の演劇近代化に関する研究発表とイプセン研究の論文発表を個別に行ってきたが、それらを合体させることが、本研究の目的であり、その成果を本にまとめるための方法を求めて、2014年5月にオスロのイプセンセンターに出張する。また、ウォーリックでのIFTR大会で、その方向を各国研究者との討論において探りたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ノルウェーのイプセンセンターへの出張予定が、次年度にまわされたため、その費用を繰越額として残した。 上記のノルウェー出張を2014年5月に行うが、それ以外にも、国際演劇学会(ウォーリック大学開催)に7月に出張し、研究発表する予定がある。
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