2014 Fiscal Year Research-status Report
変容する教育・伝統観―イラン系音楽家の教育方法に関する比較研究と教職科目への還元
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25370121
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷 正人 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20449622)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イラン音楽 / 身体性 |
Outline of Annual Research Achievements |
8月から9月にかけて行ったイラン調査においてイラン国営放送のVahid Rastegariから音楽家を紹介してもらい、以下の各人より音楽語法の違いに関する説明およびインタビューを実施した。具体的にはsaid jalaliyan氏によるトンバクのレッスンの参与観察nurbakhsh氏による声楽のレッスンの参与観察、keivan saket氏によるセタールのレッスンの参与観察、ardavan kamkar氏によるサントゥールのレッスンの参与観察、ashkan moradi氏によるキャマンチェのレッスンの参与観察、farhad binai氏によるネイのレッスンの参与観察、を、各氏についておおよそ週1~2回のペースで実施し、すべて映像と音声を記録した。 また8月20日午後にイラン国営放送にもテレビインタヴュー出演し、今回の調査についての説明をおこなった。またいくつかのペルシャ語文献やDVD、楽器についても収集し日本に持ち帰った。 結果、専門楽器を異にする様々な演奏家たち――アーヴァ―ズ(声楽)から、トンバク、タール(セタール)、サントゥール、ネイ、キャマンチェ、ウードなどの様々な器楽奏者たち――が、イラン音楽という共通の土台を経験しつつも、どのように互いに異なった身体感覚を持ちながら音楽を営んでいるのかが明らかになった。また、特にサントゥールという楽器については、これまでとは全く異なる流派の音楽家に対して参与観察を行ったため、ある同一の楽器のなかでも、音楽家によってどれほど異なる身体性が存在するかについての新しい知見を得ることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで概ね年1回のイラン調査が達成できており、現地でしか入手できない情報が得られていることから、今後イラン情勢が極端に変化しない限りは概ね順調な調査を予期される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は、現在の調査の焦点となっている「身体性」それ自体を、如何に「諸民族の音楽」の教材として昇華させてゆくかである。異文化を様々に感じるためには、もう音楽を「聴く」だけでは不十分で、今後は実際に楽器を触るなどの身体的把握が不可欠となる。それをどのようなカリキュラムのなかで実現してゆくかの具体策を、最終年度に向けて詰めてゆく必要がある。
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Causes of Carryover |
本来の計画では2015年1月末から2月にかけてもイラン調査を行う予定であったが、本務校の業務でその時期に別の海外出張業務(イラン)につく必要があり、調査のための時間を割くことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
従って2015年度は、当初の予定を一回増やして、9月と12月の二回にわたってイラン調査を行う予定である。
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