2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370134
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
山本 聡美 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (00366999)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 仏教説話画 / 絵巻 / 掛幅縁起 / 院政期文化 / 六道絵 / 国際研究者交流(米国・仏国) / 国際情報交換(米国・仏国) |
Research Abstract |
1. 3件(7作品)の調査を行った。(1)フランス国立図書館にて「十王経図巻」「住吉のほんち」「浦島太郎」「七夕」、(2)クリーブランド美術館にて「融通念仏縁起絵巻」「熊野曼荼羅」、(3)東京国立博物館にて「不動利益縁起絵巻」。なお(2)及び(3)においては、作品分析のための写真撮影を行った。これらの作品調査によって、次年度以降の研究基盤が整備された。また、経巻・絵巻・冊子・掛幅画と多岐にわたる形態の作品を網羅的に調査することで、仏教説話画における図像交流の具体相を考察する前提が整備された。 2. 2013年6月9日に、共立女子大学において日・米の研究者5名による院政期絵巻についての研究報告を行い、論点の発掘や方法論に関する情報交換を行った。なお、この研究会には50名ほどの参加者を得、本研究課題に関連した問題提起を行うことができた。 3. 5件の成果発表を行った。(1)山本聡美「経から絵巻へ―教説絵巻の詞と絵」(『説話文学研究』48、2013年7月)、(2)山本聡美「生と死へのまなざし 餓鬼、病、死体の世界」(『地獄絵を旅する』平凡社、2013年7月)、(3)山本聡美「「伴大納言絵巻」における経説の利用―伴善男邸に描かれた破戒のモチーフ」(『中世絵画のマトリックスII』青簡舎、2014年2月)、(4)山本聡美「九相図をめぐる過去と現在」(『宗教と現代がわかる本(2014)』平凡社、2014年3月)、(5)山本聡美「中世絵画の生命誌―聖衆来迎寺蔵「六道絵」の制作と伝来―」(『仏教美術論集5 機能論』竹林舎、2014年4月)。以上の刊行物には、学術雑誌や学術書だけでなく、一般誌も含まれており((2)及び(4))、本研究課題の成果を広く普及させることにもつながっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所蔵先からの許諾を得ることのできた作品調査を優先したため、当初の計画では平成26年度に予定していた米国・クリーブランド美術館での調査を前倒しで実施した。その代わり、今年度に計画していたオランダ・ライデン国立民族学博物館での調査を次年度以降へ繰り越すことで、予算支出のペースを調整した。また調査によって得た資料の整理は、概ね計画通りに進んでいる。成果報告として、主に論文刊行を予定通りのペースで実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
作品調査を継続して実施する。平成26年度以降は、仏教説話画に描かれるモチーフのうち、罪業観と救済に関わるものに着目し、幅広い作品の中から関連図像を収集することに取り組む。それに伴い、画像データや文献資料が相当量集積されることが予測されるので、平成26年度以降は、資料整理補助のためのアルバイトを雇用して作業の効率化を目指す。
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Research Products
(9 results)