2015 Fiscal Year Research-status Report
鎌倉時代における地方仏の発生と展開に関する基礎的研究
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25370137
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Research Institution | Tama Art University |
Principal Investigator |
青木 淳 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (00305806)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地方仏 / 湛慶時代 / 快慶工房 / 年輪年代測定法 / 四国地方 / 遍路文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度までの研究成果である展覧会「祈りの道へ」(多摩美術大学美術館にて開催)を契機として提起された地方仏の様式変化や造像圏の形成過程に関わるいくつかの問題点について、拙著『四国の仏像』(淡交社・2016.2)において論じた(論考「四国の仏像に会いに行こう」ほか)。高知県・養花院菩薩半跏像(重文・奈良時代)、高知・定福寺六地蔵像(県指定・平安時代)、同・車瀬大日堂大日如来像((県指定・平安時代)、愛媛県・石出寺釈迦如来座像(清涼寺式・鎌倉時代)、同高縄寺千手観音像(県指定・平安時代)、徳島県・中熊観音堂十一面観音像(県指定・平安時代)、円成庵六字尊像「(平安時代・市指定)、香川県・伝、池田八幡旧蔵(長勝寺・平安時 代)三神像(重文・平安時代)ほか三十余体について調査と論考を行った。 また東北地方(福島県会津地方とと浜通り地方)との比較(会津=三島町天部像・平安時代、美里町吉祥天像・平安時代、浜通り大蔵寺十一面観音像・天部像・平安時代など)、山形県(山形市立石寺薬師如来像・鎌倉時代、極楽寺釈迦如来像・鎌倉時代、)、秋田県(湯沢市・白山神社女神像・平安時代・県指定)、赤沢神社(十一面観音像・平安時代・県指定)などについて調査を行った(成果は『目の眼』紙上ほかにて発表)。特に、奥州藤原氏成立前後における造寺、造仏活動における京・畿内の影響と、その一方にある奥羽地方独自の地方様式の成立過程について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『四国の仏像』(淡交社)を上梓し、四国地方における12世紀から14世紀にかけての作品、香川・円成庵六字明王像、徳島・中久万観音堂十一面観音像、高知・車瀬大日堂大日如来像、愛媛・出石寺大日如来像など、院政期から鎌倉時代にかけての地方作、ならびに進出の慶派仏師の作品などについて調査と論文の執筆を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
三重県、愛知県、福井県、石川県一帯の鎌倉彫刻と研究を進めていく。この地域は鎌倉時代以降の宗教的な環境と造仏の関係について言及されたことが少ないが、鎌倉新仏教の内、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗、時宗といった宗派が教線を広げた地域にあることに注目して調査を進める。 また、研究成果として調査結果の取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者が病により、3か月間休職し、当初計画していた現地調査が行えなかった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に行えなかった現地調査(三重・愛知・福井・石川)を行い、未使用額はその関連経費(旅費や研究資料等)に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)