2013 Fiscal Year Research-status Report
清水多嘉示が遺した資料の研究-近現代美術史の周辺と専門的美術教育について
Project/Area Number |
25370138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Musashino Art University |
Principal Investigator |
黒川 弘毅 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (50366879)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 近代日本彫刻 / 清水多嘉示 / 専門的美術教育史 / ブールデル受容 / 戦争と美術 / 帝国美術学校 |
Research Abstract |
平成25年度夏に、連携研究者・研究協力者がサーバーにアクセスして清水資料を研究できるシステム作りを完成させた。資料整理は、25年度1月までに1945年までの美術史関係の主要資料の目録・データベース作成を先行して終了する予定であったが、後述の理由でこれを変更した。採寸、文書・写真・印刷物の撮影、トリミング、番号付けなどの作業は全体の約半数を終了し、データベース化は分類とインデックス付けを保留している。文献資料と書簡類(下書きを除く)はデータベース化をほぼ終了させた。整理した文献資料等については、これらをもとに清水の作品の個別的研究や、彼の近代日本彫刻史上の位置づけについての研究を進めた 9月の研究会では、同時期に武蔵野美術大学に訪問教授として滞在したロンドン大学(UCL)およびヘンリー・ムーア・インスティテュート(HMI)の研究者と近代日本彫刻についてのワークショップModern Japanese Sculpture(MJS)Net-work Part Iを催し、意見を交換した。彼らとの交流を通して、①欧米の研究者と研究を共有する為に〈近代日本彫刻に対する西欧の視点〉を理解した上で清水の渡欧の意義とその歴史的バックグラウンドについての研究課題を見直す必要性、②国内のみならず、海外の研究者の活用に資するものとして資料整理を行う必要性を認識した。そして資料整理を先行する当初の計画を見直し、国外への発信を目指した研究課題の深化に取り組んだ。そして平成26年4月にUCLでのワークショップ(MJS Net-work Part II) とHMIで調査・意見交換を行うことを計画し、日本彫刻の〈近代〉概念における諸問題、近代日本彫刻研究における清水多嘉示の意義について、イギリスの研究者に向けて発表することを目標として、平成25年度1から3月まではこれの準備に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採寸、文書・写真・印刷物の撮影、トリミング、番号付けなどの作業は全体の約半数を終了し、データベース化は分類とインデックス付けを保留している。文献と書簡類(下書きを除く)は整理とリスト作成をほぼ終了させた。 遅れの理由は、イギリスの研究者と交流する機会を得て、資料整理を先行する当初の計画を見直し、国外への発信を目指した研究課題の深化に取り組んだためである。ロンドン大学で催されるワークショップでイギリスの研究者との交流が予定され、「9.研究実績の概要」で述べた①をさしあたっての重要課題と位置づけ、研究活動を行った。また資料のデータベース化では、②を考慮して分類とインデックス付けの方法を見直した。
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Strategy for Future Research Activity |
夏までに資料分類とインデックス付けの基本方針を確定し、美術資料のデータベースと整合を図りながら美術史に関連する主要資料の資料整理とデータベース化を進め、これを今年度中に完了する。これらをもとに、清水作品の個別的研究と、彼の近代日本彫刻史上の位置づけについての研究を進める。 平成27年1月に、イギリスのリーズにあるヘンリー・ムーア・インスティテュートでの「近代日本彫刻展」と合わせてスタディー・デイが催される。また5月には、武蔵野美術大学で近代日本彫刻に関する国際会議を開催する計画が進行している。これらにおいて本研究の成果を活かし、また本研究の紹介を行うことを目標に、海外への発信を考慮して資料のデータベース化を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
イギリスの研究者と交流する機会を得て、資料整理を先行する当初の計画を見直し、本研究の国外発信の前提となる近代日本彫刻の国際的研究課題の検討を当面の課題とした。本研究の成果が海外の研究者にも資することを念頭に、当初予定していた資料分類とインデックス付けを保留し、データベース化の作業を遅らせた。これにより、資料整理作業に従事するアルバイトの人件費・謝金が予定額を大きく下回る結果となった。 平成25年度の残額と合わせて今年度の人件費・謝金を出費し、資料整理・データベース化作業の遅れを取り戻す。
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Research Products
(6 results)