2014 Fiscal Year Research-status Report
清水多嘉示が遺した資料の研究-近現代美術史の周辺と専門的美術教育について
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25370138
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Research Institution | Musashino Art University |
Principal Investigator |
黒川 弘毅 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (50366879)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 近代日本彫刻 / 清水多嘉示 / 専門的美術教育 / ブールデル受容 / 戦争と美術 / 帝国美術学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年4月に、ロンドン大学Slade校で催されたワークショップModern Japanese Sculpture Net-work PartIIに黒川と田中が参加し、イギリスの研究者たちと、近代日本彫刻における〈西洋彫刻の受容〉と〈単純な西洋化とは異なる近代化〉に関して意見交換を行った。この時、黒川は清水多嘉示の美術教育の特徴と清水資料の意義について、田中は近代日本彫刻の概略について、講演を行った。またリーズのヘンリー・ムーア・インスティテュートを訪れ、アーカイブの調査と意見交換を行った。また、迫内は戦争期の資料の精度を上げるため、長岡での調査を実施した 7月26日と27日に研究会を行い、4月に行われた海外研究者との交流の成果を本研究の参加者全員で共有した。この時点で、〈近代日本彫刻に対する西欧の視点〉に関する理解の深化と共有を優先し、研究課題と研究方法を再点検して作業の優先順位を見直した。全資料のデジタル画像撮影は2015年3月までに終了したが、トリミング作業の一部と、分類とインデックス付けは平成27年度の作業として残した。 平成27年1月、ヘンリー・ムーア・インスティテュートで開始された展覧会「近代日本彫刻展 A Study of Modern Japanese Sculpture」に付随して開催されたセミナーに黒川と田中が招かれて講演を行った。そこでのプレゼンテーションのベースには、本研究の成果が活用された。これら海外研究者との交流の実績は、資料の読解における新たな視点の形成に繋がり、本年7月に武蔵野美術大学で開催される国際シンポジウムを念頭に置いた清水資料への取り組みの基本姿勢と、国外における学術研究分野の形成を視野に入れたデーベースの構築における具体的な課題が認識できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トリミングの一部が終了して居らず、番号付けは仮番号に留まっている。分類とインデックス付けは平成27年度の作業として残された。それは、〈近代日本彫刻に対する西欧の視点〉に関するメンバー全員の理解の深化と共有を優先し、国外における新たな学術研究分野の形成を視野に入れたデーベースの構築の必要性を考慮して研究課題と研究方法を再点検し、実務的作業を遅らせたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
8月末までに資料分類とインデックス付けを完了し、清水多嘉示の近代日本彫刻史上の位置づけについての研究と平行しながら、国外の研究者による活用とその研究への貢献を視野に入れたデーベースの構築を12月までに完了する。 現時点までの本研究の成果を 武蔵野美術大学で5月25日~8月16日まで開催される「近代日本彫刻展」に付随して、国外からも多くの研究者を招いて7月17日-18日に開催される国際シンポジウムにおいて活かし、本年度の後半にイベントの成果を踏まえて研究のまとめを行い研究報告書を作成する。
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Research Products
(9 results)