2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
劉 文兵 東京大学, 総合文化研究科, 学術研究員 (70609958)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カルチュラル・スタディーズ / 日中テレビ界の交流 / 日中映画交流 / 日本人のイメージ / 抗日ドラマ / 抗日映画 / 放送文化 / ソフトパワー |
Research Abstract |
平成25年度の主な研究成果として、単著『中国抗日映画・ドラマの世界』が2013年10月に祥伝社から上梓された。本書は中国の抗日映画、及び抗日ドラマというジャンルの歴史的変遷を整理してみた。 本書は、中国の大衆文化のレヴェルにおける日本のイメージの歴史的変遷を検証することをつうじて、険悪になりつつある日中関係において打開の糸口を見つけるためのささやかな一石を投ずることを試みた。本書は「朝日新聞」「文芸春秋」「紀伊国屋書評空間」「赤旗」などの書評欄に取り上げられ、高い評価を得ている。 「中国抗日ドラマと日中歴史表象の可能性」をテーマに、表象文化論学会第8回研究集会において口頭発表したのである。 いっぽう、2013年5月と8月に、二回ほど北京へ研究出張をおこない、北京大学図書館や国家図書館において文字資料を収集するとともに、多くの関係者に取材をおこない、貴重な映像史的証言を得ることができた。 さらに、実証的研究とともに、表象の歴史分析のアプローチを用いて、執筆した学術論文「映画のなかの満州国」が、日本植民地研究会の学会誌『日本植民地研究』(2013年6月)に掲載され、学術論文「中国におけるハリウッド映画の受容史」が共著『学芸の環流――東西をめぐる翻訳・映像・思想』(専修大学出版局、2014年3月)に掲載れたのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
拙著『中国抗日映画・ドラマの世界』では、1980年代から2013年までに作られた抗日ドラマを包括的に扱っており、抗日映画との関連性についても言及している。それによって、「中国の映像文化と日本人イメージの構築」というテーマをより重層的に考察することができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、初の日中合作テレビドラマ『望郷の星』(1980年)を扱う対象とした論文「日中テレビ交流史の幕開け――初の日中合作テレビドラマ『望郷の星 長谷川テルの青春』試論」を完成し、知られざる日中テレビ交流史の幕開けを明らかにする。 さらに、『さよなら 李香蘭』(1989年)『大地の子』(1996年)などの日中合作ドラマについてリサーチをおこない、日中テレビ交流史の流れを整理していく。 いっぽう、現在の中国のテレビ市場において、 ドラマは約三分一を占めており、とりわけ抗日ドラマは放送文化の重要なコンテンツとなっているため、抗日ドラマは中国の視聴者の歴史認識や日本人観に与えた多大な影響を分析していく。
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