2013 Fiscal Year Research-status Report
17世紀の鍵盤音楽における分割鍵盤使用の可能性~中全音律による演奏法の研究~
Project/Area Number |
25370162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
大塚 直哉 東京藝術大学, 音楽学部, 准教授 (70625847)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 17世紀の鍵盤音楽 / ミーントーン(中全音律) / 分割鍵盤 / オルガン / チェンバロ |
Research Abstract |
17世紀の鍵盤音楽(オルガン作品、チェンバロ作品)の演奏法研究の一環として、分割鍵盤・中全音律という当時の楽器の特徴を演奏の際にどのように生かして行くことができるか、という問いを立て、① 約10回の分割鍵盤研究会(現地調査のためのプラン作り、分割鍵盤に関する基礎的な文献の調査と購読を行った)、② 2回の現地調査(スウェーデン、オランダ、ドイツのオルガンの見学と試奏:平成25年8月、および埼玉県比企郡の横田ハープシコード工房のイタリア様式の楽器見学・試奏:平成26年1月)、③ 分割鍵盤+中全音律による大型オルガン建造の実績を持つ製作家・横田宗隆氏によるレクチャー(17世紀のオルガン建造の諸技術に関するレクチャー:平成25年12月20日東京藝術大学にて)を行った。 ②の試奏を通して、現代の調律法ではやや平板に響くことの多い17世紀の作品が、分割鍵盤つきの中全音律の楽器では立体的な、生き生きとしたものとなることを再確認したこと、また①や③を通じて日本の教育現場に分割鍵盤・中全音律の楽器が必要であること、またどのような仕様がそれにあたっては望ましいかを大学内で共有する輪が少しずつできつつあることの2点が今年度の主な成果である。また「かつてはどのように行われていたのか」という当時の製作技法、演奏技法への知的興味と、それを現代のわれわれがいかにそれを応用して現代における演奏を魅力的にしてゆくことができるか、という2方向の課題をうまくつなげてゆくことが今後の課題であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画の内容をほぼ予定通り行ったことからこのような自己評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
実際に借用することのできる楽器を調達して、レクチャーコンサートを予定よりも早い段階で(つまり当初計画の平成27年度ではなく、平成26年度中に2回ほど)行う必要があるのではと考えている。このような機会に分割鍵盤研究会での文献購読の成果を何らかの形で発表することも含め、大学内を中心にこの問題を共有してもらう輪をさらに広げる努力をしたいと考えている。そのため、当初予定していた現地調査の一部を第3年度(平成27年度)にまわすことも考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度購入を予定していた大型書籍(ドン・ベドス著「オルガン建造の技法」)が、出版切れ等の関係で手に入らなかった。 引き続き同書を探しており、見つかった場合にはこの次年度使用額をあてて購入したいと考えている。
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