2013 Fiscal Year Research-status Report
フィルムとデジタル編集の創造性と新しい表現方法の研究
Project/Area Number |
25370164
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
筒井 武文 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (70420297)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶌 寛幸 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 准教授 (10621790)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 映画 / デジタルシネマ / 映画編集 / ポストプロダクション |
Research Abstract |
デジタル編集とフィルム編集は、映画制作と創造性という観点でどのような違いがあるのかを明らかにするため、映画編集・サウンドデザイン(ポストプロダクション)の分野の第一線で活躍している編集者とサウンドデザイナー(録音部)から8名に対してインタビューを実施した。インタビュー対象者は、金子尚樹(編集)、川島章正(編集)、鍋島惇(編集)、宮島竜治(編集)、米田武朗(編集)、眞道正樹(録音)弦巻裕(録音)、堀内戦治(録音)。内容は、1)現在の映画制作では、どのようにデジタル化が進んでいるか?2)デジタルに移行したことで、現在どのような問題が出てきているか?3)フィルムとデジタルのそれぞれの欠点利点は何か?4)フィルムとデジタルを使う事での創造面での違いは何か?5)フィルムからデジタルに変化した事で何が出来るようになり何が出来なくなったのか、作業に必要な能力がどのように変化したかなど2時間程度のインタビューを実施した。 「映画編集の可能性と未来」というテーマで映画編集者(宮島竜治)を招聘し、実践形式による編集講義と監督(西川美和)を交えての鼎談を開催した。 フィルム編集とデジタル編集では、作業時間、予算、作業効率といった映画制作の側面とリズム、カットポイント、編集行程、編集の思考がどのように異なるのかを明らかにするための10分程度の短編素材の撮影を2日間実施した。撮影は35mm使用。実際のフィルム編集素材は35mmからダウンコンバートを行い16mm,デジタル編集素材はHD素材を使用する。また、35mmプリントとデジタル(4K)の視覚的違いを考察するため、同脚本同演出で4Kによるテスト撮影も行いIMAGICAにて35mmと4Kの比較試写を行い印象や視覚的違いについての考察も行った。フィルムとデジタル編集の比較の為の短編素材は役者2名による2シーン(ロケと室内)構成。撮影時間が約10分。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一線で活躍する映画編集とサウンドデザイン(録音)のプロフェッショナル8名から現在の映画制作が直面している問題、フィルムからデジタルに変化することで新たに生じた制作面での弊害、フィルム編集からデジタル編集に移行したことによる創造性、技術面での変化などについて幅広く意見を収集することができた。現在のデジタル制作の現状リサーチ、フィルムとデジタル編集のそれぞれの利点欠点、デジタル編集の今後の可能性などが一定程度明らかになった。 フィルムとデジタルの同一素材を編集しその行程を比較検討する方法の為の素材撮影を行った。撮影素材として2シーン10分程度の撮影素材は、編集の比較検討をする為の素材として最低限の素材である。 上記の事から今年度の活動は、フィルムからデジタル編集になり映画は“何を失い、何を得たか”を明らかにし新しい編集体制、方法論を提唱する為に必要な検討の土台を得る事が出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度のリサーチ結果を受け、同一素材でフィルムとデジタル編集の比較検討を行うことでデジタルとフィルム編集の特色を理解する。双方の利点と特色を反映出来る編集体制、編集の方法論を提唱し、提唱された編集体制/方法論の有効性の検証を行う為の短編映画の制作を行う。短編制作後、編集体制のフィードバックを行う事で提唱された編集体制の改善を行う。成果物としては、最終的に改良された編集体制とその実践により制作された短編映画、最終的には提唱編集体制と映像表現の有効有用性の検証を行う。デジタルポストプロダクションの現状と未来にフォーカスを当てた編集シンポジウムを開催。シンポジウム内で研究成果の報告と提唱編集体制、方法論の発表を行う。シンポジウムの内容を報告書として作成し、映画教育機関、映画制作機関に配布する。また、映画教育的意義から東京藝術大学大学院映像研究科ホームページにて研究成果の報告を広く一般に公開する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フィルムとデジタル編集の比較を実施するため、撮影素材をフィルム編集用にキネコ(16mmプリント制作)を行う必要がある。それにともないフィルムとデジタル編集の検証作業の編集者と助手の人件費、機材費、提唱編集体制の効果を検証する為の短編映画を作成する必要がある。最終的にはこの作品が本研究の具体的な成果物の一つとなる。 フィルム、デジタル編集の比較用撮影素材制作費 比較用編集費(人件費 機材費) 短編映画制作費1または2作品
|
Research Products
(2 results)