2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25370174
|
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
小山田 徹 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (20580856)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 紫朗 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (60275188)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 自己定位 / 洞窟絵画の空間性 / ロマネスク教会 / 中国庭園 / 身体的対話 / 共有空間 / 焚き火 / 茶室 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究{BODYMIND TOPOGRAPHY~開かれたダイアログ・共有空間の創作研究}において、過度な視覚情報とシンボリックなサインであふれ、実態を持たない概念的な空間が広がっている現代社会において、自己定位を含めた人と人、人と環境の関係性の構築の困難さを克服すべく、古来より人類が作り続けてきている、環境の中での自己定位とその共有を目的とする空間(古代遺跡、洞窟空間、宗教建築、儀式空間、庭園、茶会等)を体感的に調査し、そこから抽出された要素を、現代社会の問題解決に向けいかに活用するかを試行した。 一年目二年目は文化的遺産として現存する空間遺跡(フランスの洞窟群、フランスのロマネスク教会群、チベットの寺院群、中国の庭園群、日本の庭園群等)のフィールドワークを行い、又、中国山水画や地図等の書画文献等のリサーチ、日本の茶室のフィールドワーク、茶席での所作の検証等を行った。 三年目はフィールドワークで得られた知見を元に、現代社会生活での応用を試み、二年目より製作を開始した茶室(茂庵の写し)での検証と茶会の開催、人々が集まり、対話し、交流する共有空間として、焚き火を核とした「チビ火」という企画の運営や、様々な石を握りながら対話する「握り石カフェ」の企画等を行った。又、それらのフィールドワーク及び実証実験の記録と知見をまとめた小冊子の製作も行った。 「自己定位の為の身体的対話」は古代に人々によって選択された空間に多くの共通点を見出すことが可能であった。それは、明暗のギャップ、入り口の物理的狭さ、内部空間の広がりと密度、迷路的視線の誘惑、登り下りにおける身体的負荷。見上げ、見下げの効果、揺らぐ光、匂い、反響、俯瞰と凝視などである。それらは、現代における開かれた対話の場を創造するにあたり、重要な視座であり、実践の基礎である。
|