2015 Fiscal Year Research-status Report
近代における義太夫節人形浄瑠璃上演資料の基礎的調査研究
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25370187
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小島 智章 早稲田大学, 坪内博士記念演劇博物館, 招聘研究員 (10611147)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人形浄瑠璃 / 義太夫節 / 文楽 / 上演資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年(2015)度は、前年度に引き続き、譜入り浄瑠璃本、番付・プログラム類、浄瑠璃関係雑誌等、義太夫節人形浄瑠璃の上演関係資料を所蔵する公的機関(大阪市立中央図書館、国立文楽劇場、国立劇場、早稲田大学演劇博物館等)の資料調査を進め、これまでの研究成果報告として2回の学会発表を行った。 平成27年(2015)12月12日に開催された歌舞伎学会秋期大会(於共立女子大学)では、近世以来の曲節の伝承を持ちながら、昭和32年(1957)以降上演の途絶えている近松門左衛門作品「博多小女郎波枕」の大正・昭和期における上演史を辿りながら、曲節の伝承や上演台本の改訂問題等について検討した。また、平成28年(2016)1月29日に開催された近松の会例会発表(於早稲田大学)では、「博多小女郎波枕」のラジオ放送録音を取り上げ、上演台本の改訂が作品内容の解釈に及ぼした影響などについて検討を行った。 上演台本(譜入り浄瑠璃本)と同時代の新聞・雑誌の劇評や芸談類、録音記録を活用しながら、具体的な上演の在り方を詳細に辿る研究方法は、これまで、浄瑠璃関係雑誌や録音資料の閲覧・入手の困難さから充分に行われてこなかった感があるが、本研究課題の成果によって、それが可能となった。 本年度はまた、演劇博物館に収蔵される未登録の新出浄瑠璃関係資料の調査を行った。同資料は、近代における義太夫節のレコード録音、ラジオ放送に関する資料で、未だ不明な点の多い録音資料に関する今後の研究に多いに資するものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近代の雑誌・書籍類の劣化が進んでいるため、閲覧・コピーの制限を新たに設ける機関が増え、資料の調査収集に予想以上の時間がかかっている。今後は、特定の機関の所蔵資料を集中的に調査するなど作業の効率化を図りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までと同様に、早稲田大学演劇博物館、国立劇場、国立文楽劇場、大阪市立中央図書館等を中心に、上演関係資料の調査研究を進め、資料データベースの充実化を図る。 また、個別のテーマについて、学会発表、論文等で研究成果を公開し、さらなる情報収集に努める。
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