2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
冨田 美香 立命館大学, 映像学部, 教授 (30330004)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 映画学 / アーカイブ / 芸術表現 / 撮影台本 / 撮影監督 / 大映 / 日活 / 美学、美術史 |
Research Abstract |
本年度は、宮川一夫による書き込みのある撮影台本を対象に、調査、カタロギング、デジタル化を行った。 具体的には、日活作品の『お千代傘』『子守唄武州颪』(1935)、『牢獄の花嫁』(1939)、『南方発展史 海の豪族』(1942)の4点と、大映の戦前作品『無法松の一生』(1943)から、『小太刀を使ふ女』『かくて神風は吹く』(1944)、『東海水滸伝』(1945)4点、戦後作品『扉を開く女』『槍おどり五十三次』(1946)、『壮士劇場』(1947)から『羅生門』(1950)、『お遊さま』(1951)、『すっ飛び駕』(1952)、『祇園囃子』(1953)、『山椒大夫』『噂の女』『近松物語』(1954)、『新平家物語』(1955)、『夜の蝶』(1957)、『炎上』『弁天小僧』(1958)、『ぼんち』『切られ与三郎』『おとうと』(1960)、『悪名』(1961)、『座頭市千両首』(1964)までの60点である。 上記資料に関して、各資料の状態・内容および稀少性の調査とカタロギングに加え、デジタル化に対する著作権等の諸課題の調査、当該資料のデジタル化にかかわる技術的諸問題の検討をおこなった。 成果報告として、京都府京都文化博物館フィルムシアターにて、『撮影監督宮川一夫コレクションの保存とデジタル化の試み――撮影台本を中心に――』(2014年3月22日16:15~17:45)を開催した。本プロジェクトの概要説明と、田中重幸(株式会社KADOKAWA 角川書店ブランドカンパニー)氏による「映画資料の保管と活用について」、佐伯俊道(脚本家、日本シナリオ作家協会 著作権委員会長)氏による「映画台本アーカイブズの現状とそれに関わる著作権者の立場」、山口孝子(東京都写真美術館 保存科学専門員)氏による「台本に貼り込まれたフィルムの保存」の発表を行い、本年度の研究報告と次年度の研究の深化に備えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の本研究の目的は、以下(1)(2)である。 (1)宮川一夫の書き込み撮影台本を対象とし、①各資料の状態・内容および稀少性、②関連する資料の国内アーカイブ・諸機関の所蔵状況、③当該資料のデジタル化に対する著作権等の諸課題とその解決モデル、④当該資料のデジタル化にかかわる技術的諸課題とその解決モデル、を明らかにすること。 (2)本研究の協力組織体制による研究の推進と成果共有を通して、日本における映画・映像の教育・研究・アーカイブに関する産官学国際連携の活性化をはかることにある。 このうち(1)については、研究費の制約上、書込み撮影台本のデジタル化は、1作品1点に限定したうえで、110作品中の60作品で予算が尽きてしまったが、当該額で60点のデジタル化を行えることが明らかになった。上記①から④については、②を次年度のデジタル化と併せて調査することとし、残りの①③④の調査はあらかた終了した。(2)についても、著作権やデジタル化に関わる諸課題の問題について協力機関との検討を重ねながら、デジタル化を並行してすすめ、報告会も協力機関からの報告を含めて開催することが出来た。 以上の点を総合して、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、初年度のデジタルデータをもとに、前項の調査を更に深化するとともに、カット尻等のフィルム資料が挟み込まれた撮影台本を対象に、調査、カタロギング、デジタル化とその研究をおこなう。具体的には、前項と同様の下記①~⑤を明らかにする。 ①各資料の状態・内容および稀少性、カタロギング / ②関連する資料の国内アーカイブ・諸機関の所蔵状況/ ③当該資料のデジタル化に対する著作権等の諸課題とその解決モデル / ④当該資料のデジタル化にかかわる技術的諸問題とその解決モデル / ⑤の映画論・芸術表現・メディア(フィルム)研究 このカット尻は、宮川一夫コレクションの中でも最も貴重な一次資料であり、それが貼り込まれた撮影台本のデジタル化は、前例がないことから、デジタル化の点数よりも、資料保存とデジタル化の質を第一条件に、進めることとする。 デジタル化と上記①~④の調査はいずれも、研究協力機関の専門的知識提供を含めた協力を得ながら、諸問題や解決モデルに関するヒアリングを重ね、検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度の直接経費については、研究代表者は、3月17日のデジタル化経費1,235,010円と、3月22日のシンポジウムにおける謝礼・旅費で、当該年度内に全額執行を終えている。 前項の次年度使用額が生じた理由は、これらの大学の支払いが4月となったためである。 前項の次年度使用額(1,282,240円)については、上述の通り執行済み。 2014年度分として請求した助成金(直接経費1,500,000円)については、申請書に記した以下の研究計画に即して執行する。 物品費:4,000(資料保存箱、外付けHDD等)/旅費:200,000(研究協力者との打ち合わせやシンポジウムの東京―京都出張費)/人件費・謝金:96,000(デジタル化準備の研究補助人件費、シンポジウムのゲスト謝礼)/その他:1,200,000(カット尻を挟み込んだ撮影台本のデジタル化)*デジタル化の準備作業は夏期休暇中に進め、発注および実際の作業は後期に行う。デジタル化の納期およびシンポジウム開催は2013年度と同様に3月中旬になる予定である。
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Research Products
(3 results)