2015 Fiscal Year Research-status Report
近世近代の枠を越えた十九世紀絵入小説史を記述するための書誌学的研究
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25370207
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| Research Institution | Otsuma Women's University |
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Principal Investigator |
高木 元 大妻女子大学, 文学部, 教授 (00226747)
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2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 近世文学 / 書誌学 / 出版史 / 読本・草双紙 / 19世紀小説 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
『国書総目録』が掲載対象を慶応三年迄の資料とした不見識により、明治初期刊行物の所在情報が著しく得難くなっていたために、明治初期に刊行された絵入本の全貌を調査するには困難な状況が続いていた。しかし、国会図書館の「近代デジタルライブラリー」プロジェクトは、明治以降に刊行された資料を画像公開すると云う方針であり、近世後期板本の近代刷りをも包含して、着々とデジタル化と画像公開とが進捗している。また、国文学研究資料館の「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」も、文学ジャンルに限定しない和本の画像データベース公開へ向けて事業を進展させている。斯様な大規模な国家プロジェクトの進捗は、個人研究としての細やかな研究課題である「絵入小説」の書誌学的研究にも多大の便宜を提供している。
板本書誌学とは、現存する原本の比較検討に拠り〈版・印・修〉の様相を時系列に則して明らかにする学問であり、可能な限り多くの標目を調査する以外に研究方法はない。その意味で、全世界の各機関に所蔵されている諸本の画像データが公開されることに拠って、時間と労力を費やさずして諸本研究が可能になりつつある。
本年度は、実に多くの公開された画像データに拠る恩恵を蒙り、予定していた以上に大量の原本調査が可能になった。しかし、大量のデータを得られたものの、それらを整理するための時間と環境とが整っておらず、多くが未整理のままで残ってしまった。残された一年間でデータ整備と公開とに努めたい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
画像データベースの公開が急速に進展したため、短時間で多くの資料を見ることができるようになった。その一方で、書誌情報の入力と整備に時間がとられ、未整理のデータが大量に残されている。最終年度には、その整理に専念したい。
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の目的である幕末開化期を通じた絵入本の見取図を作成することに関しては、大雑破な様相は把握できた物と思われる。収集した書誌データを整備して、より具体的に展開できるようにしたい。また、WEBを通じた公開の準備も進めたい。
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| Causes of Carryover |
大妻女子大学に異動した結果、科研費の執行には紙媒体の伝票に学科長と学部長の決裁が必要だとのことで、迅速な処理が出来なくなった上に、管財が把握している出納簿をオンラインで参照することもできず、最終段階での残額把握と執行とが出来なかったため、若干の執行残が出たが研究計画推進に影響はない。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
僅かな額なので当初の予定より早目に執行すれば研究計画の遂行に問題はない。
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