2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370213
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
土谷 桃子 岐阜大学, 留学生センター, 准教授 (70331139)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 明治初期の芝居 / 岐阜 / 伊奈波地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度は、岐阜の伊奈波地域に存在した複数の芝居小屋のうち、大規模な小屋であった末広座と国豊座について集中的に調査をした。史料としては、雑誌『歌舞伎新報』をさらに精査したのに加え、『岐阜日日新聞』から該当記事を拾うことにも時間を費やした(本作業はまだ中途段階である)。 現物調査も試み、岐阜県博物館、岐阜市歴史博物館所蔵の史料(鬼瓦、芝居番付)を実際に観察、撮影することも研究に大いに資した。 本科研費を得て1年半が経過した段階で、岐阜市立図書館より岐阜に関連するトピックでの講演を依頼され、それまでに調査済の事項を元に講演を行なった(26年10月31日、岐阜市立図書館第32回文学ライブ)。その講演会で元豊田工業高等専門学校教授篠田壽夫氏と知り合い、後日氏から多大なるご教示を得た。その中には、末広座所有者の末裔である国島幹名子氏についての情報もあり、同氏に直接インタビューを試みることもできた。26年度最大の成果であったと考えている。 史料調査に加えて、篠田氏のご教示、国島氏へのインタビューを元に、論文をまとめることができた(3月提出済、6月刊行予定)。論文では、岐阜に東京の9代目団十郎、5代目菊五郎、初代左団次が興行に来た際の詳細も記した。査読者からは、中間報告ではあるが、今まで本格的な研究がなかった分野における研究であると高く評価された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料現物調査、末広座末裔の方へのインタビューは、当初の想定していた以上の成果であり、自分でも大いに評価している。一方、芝居小屋の調査と平行、もしくは追って行なう予定であった役者の調査は、若干遅れが生じていると言わざるを得ない。しかし、芝居小屋の研究が想定以上に深みのあるものであると実感しているので、より深めたいと考えている。あくまでも交付当初に想定した「劇場と役者」という点から見れば、「おおむね順調」が妥当である。
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Strategy for Future Research Activity |
末広座と国豊座についての調査が、血縁者との面談が叶うなど、非常な深みを持つものになっている。両座については断片的な情報が残されているが、『岐阜日日新聞』を丁寧に見ることによって、それらの情報が線で繋がるとにらんでいる。地味な作業ではあるが、この作業を継続する。 昨年度は団菊左の岐阜興行に焦点を当てたが、今年度は上方の役者の興行にも目を配りたい。それと平行して、「名古屋役者」たち(あるいは岐阜の地付き役者もいたか)をいささかなりとも明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当該年度内に東京方面への調査を追加することを予定していたが、大学業務および家庭の事情によりかなわなかった。また、購入希望の書籍もあるが、高額であり当該年度残額ではカバーできないため購入を見送った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は科研費最終年度となるため、上記で断念した調査および書籍購入を考えるとともに、研究成果をまとめて冊子を作成する際に必要な費用の一部として用いたい。
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Research Products
(2 results)
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[Book] 円朝全集2014
Author(s)
佐藤かつら・土谷桃子・小二田誠二・池澤一郎
Total Pages
617
Publisher
岩波書店