2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
岡崎 真紀子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (30515408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 和歌 / 中世 / 仏教 / 横断 |
Research Abstract |
研究初年度である平成25年度は、中世和歌と仏教の相関について考察するための基礎的な資料を収集・整理し、4年計画である本研究課題を進めるための研究基盤を整えることに力点を置いた。今年度は、翻刻や影印の書籍で入手できる本文資料にもとづく検討を中心とした。 具体的には、勅撰和歌集・私撰集における「釈教」の部立に収められた歌や、法会の後宴における歌、そのほか仏教にかかわる内容の和歌を網羅的に収集して検討した。そのなかでもとくに、平安末期に西念によって詠まれたと考えられる『極楽願往生歌』に着目した研究で実績をあげることができたと考える。同歌は、明治39年(1906)に建仁寺塔頭から出土したもので、いろは四十七文字を首尾に置いた和歌四七首と別和歌一首、及び康治元年(1142)6月の漢文序からなる。阿弥陀四十八願に寄せた歌数によって、極楽往生への願いを表現した連作歌で、用いられた語彙のうえでも、いわゆる和歌伝統の範囲にはおさまらない特異な語句や仏教語を詠み込むという注目すべき特徴をもつ。しかし従来の研究では、主に日本語学・日本語史の側から、平安末期の表記や音韻のありようを考える重要な資料として注目されてきたものの、和歌研究の側から掘り下げて研究されることが少なかったように思われる。そこで、この『極楽願往生歌』を、和歌表現の分析、日本語史、思想史・仏教史などの諸領域に繋がる観点を導入しながら注釈的に精読することを通して、和歌と仏教の相関関係について領域横断的に研究をすすめるための基本的な視座を獲得することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロフィルム資料の収集や文庫・図書館への資料調査の点では、当初計画していたことを次年度にまわしたものもあるが、本研究課題の研究の目的にむけての進捗状況はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
夏季や冬季の大学休業期間を有効に活用して、マイクロフィルム資料や文庫・図書館への資料調査を効率的にすすめたい。
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