2014 Fiscal Year Research-status Report
本地垂迹の視点から見た慈円法楽歌についての基礎的考察
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25370221
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
石川 一 奈良大学, 文学部, 教授 (80193283)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 法楽歌群 / 寺社縁起 / 伊勢神道 / 天台仏教 / 神宮典略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新古今歌人慈円の和歌作品検証のために、その特徴の一つである法楽歌を中心に多方面から分析考究するものである。家集『拾玉集』内の数種の法楽百首に付された序・跋はその法楽意図が端的に表出されているので、彼の法楽歌の背景をなす思想体系究明の糸口となるものである。 現在の研究は仏教・神道、さらに日本思想史の研究者が積極的に言及しているので、これまでの家集内の序・跋の分析に留まらず、寺社縁起に関係した彼自身の思想体系総体への視点を加味しなくてはならない。 慈円の法楽歌群に関する調査・収集作業は、これまでの科学研究費補助金・基盤研究(C)「法楽歌分析による寺社縁起との相関関係に関する基礎的考察」(課題番号:21520199)で推進してきた作業成果の上に、達成できなかった新しい領域に調査範囲を拡張して行うことになる。すなわち法楽歌の伝本収集に留まらず、周辺領域である仏教・神道の中世的実態というべき本地垂迹などにも目配りしていくことになる。一般的に寺社所蔵の貴重文献(内典)は写真頒布が許可されないことが多く、また手作業で調査した上でパソコンなどに入力せざるを得ないので、かなりの労力を要する。幸い内務省神社局本『神宮典略』などの所在も確認でき、「神宮正権祢宜和歌」閲覧・翻刻を完成させることもでき、より一層の内容開明を進展させることが可能となった。今後も伊勢神宮関係の資料を中心に、彼の思想体系の根幹をなすものの考察を進めていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度は少し遅れ気味であったが、26年度は伊勢に近いという立地の大学に勤めることになったこともあり、かなり調査の進度が上がった。『神宮典略』所載の「神宮正権祢宜和歌」を翻刻を完成させ、それを基に新しい資料へと進めることになった。今後もこれらの調査・解析をさらに推進していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 「神宮正権祢宜和歌」内に記された薗田守宣に拠る頭注のいう「二十一代集抜萃 伊勢神宮作者」という資料が正しく神宮文庫に所蔵されていることが判明した。それを閲覧・筆写した上で、紙焼写真を頒布願を提出している。当該資料に関する研究発表をすることになっており、本研究の目的に沿うべく着々と推進していきたい。
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Causes of Carryover |
物品購入の際、取引業者による値引き、また型番廃止商品などのために、生じたもので、締切日までに調整できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の物品費と合算して厳密に消化してゆきたい。
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