2014 Fiscal Year Research-status Report
松代・一関・南部・秋田各藩の和歌活動・俳諧活動による大名文化圏形成解明の新研究
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25370223
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
平林 香織 岩手医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50300132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神作 研一 国文学研究資料館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (30267893)
伊藤 善隆 湘北短期大学, その他部局等, 教授 (30287940)
志立 正知 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (70248722)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 近世和歌 / 近世俳諧 / 大名文芸 / 大名紀行 / 地誌 / 藩士 |
Outline of Annual Research Achievements |
7月25日から27日に、シンポジウム「藩主の交遊―和歌・俳諧がむすぶ人と地域ー」を鶴岡市致道博物館で開催した。研究メンバー全員が一堂に会し、情報交換・研究成果の発表・資料調査を行った。鶴岡藩第9代藩主酒井忠徳が日野家冷泉家の堂上家とどのように和歌交遊を行っていたか、また、和歌・俳諧活動の背景にある思想的背景などが明らかになった。薩摩藩、南部八戸藩、松代藩の藩主らの文学活動も庄内藩の活動と同時期にクロスオーバーするかたちで展開し、藩主のみならず、藩士らも他藩の大名や、江戸座の俳諧宗匠や地下の歌人らと交遊することで、藩の活性化、藩の知のアーカイブ化を行っている実態が明らかになった。 9月27日・28日には、研究メンバーが松代藩主真田幸弘の二百回忌記念講演や幸弘関連俳諧資料調査調査に参画し、第6代松代藩主真田幸弘の和歌・俳諧活動について、前年度に引き続き調査を行った。 10月28日開催の俳文学会第66回全国大会で及び11月21日開催の日本近世文学会では、集まった研究メンバーが、藩主の文芸活動に関する関連分野の報告から情報収集を行い、互いに情報交換した。俳文学会では連携研究者稲葉が「「闘鶏句合」考―宝永期の其角」と題して磐城藩主内藤風虎と江戸座俳諧師の俳諧活動に関する研究成果を報告した。 代表平林、分担者志立、協力者錦は酒田市光丘文庫及び致道博物館の調査を継続し、酒井忠徳の和歌資料・俳諧資料の解析を推進した。 代表平林は盛岡南部藩、八戸南部藩の調査も展開し、堂上歌壇と藩主の交遊を裏付ける資料をデジタルカメラ撮影した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同討議を中心とするシンポジウムを致道博物館で2日間にわたり開催し、盛況であった。公開型で地元市民のかたに、今まで知られていなかった庄内藩主の事蹟を伝えるとともに、藩主や藩士の文芸活動を考えることが、藩の国づくりや治世を考える問題でもあり、また、江戸幕府の儒学思想や統治のありかたと関連することを検証することができた。また、このシンポジウムには佐賀大学地域学歴史文化研究センター井上敏幸を招聘し、2007年までの調査の状況と、その後の展望について報告していただいた。 松代藩主真田幸弘の点取俳諧集の翻字作業と、翻字データのホームページ「真田幸弘の文藝」へのアップロードを継続し、情報公開を行った。真田幸弘の和歌活動の資料調査にも手を広げ、柳営歌人との交遊の実態が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
庄内藩、松代藩、佐竹北家の藩主の和歌活動・俳諧活動の全容(資料の種類・点数・書誌データ)を整理し、公表する。資料の一部は翻刻して公表する。 致道博物館及び岩手医科大学で、共同討議を行い、3年間の研究を振り返るとともに、今後の共同研究への展望を拓く。
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Causes of Carryover |
ホームページへの翻字データのアップロードの分量が当初予定した件数より少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ホームページへの翻字データの不足分に充当する。
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Research Products
(26 results)