2016 Fiscal Year Annual Research Report
Interrelatedness of a Ntsume Soseki's Literature and theA rts: Empirical Research from the Soseki Collection
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25370225
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
仁平 道明 和洋女子大学, 人文社会科学系, 教授 (00042440)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 夏目漱石 / 美術 / 文芸 / 東北大学 / 漱石文庫 / 美術雑誌 / “The Studio” / 剥ぎ取り |
Outline of Annual Research Achievements |
夏目漱石の美術への関心、その文芸と美術との関わりについては既に多くの研究があるが、前提となる調査は十分とは言いがたい状況であった。研究代表者は、漱石文庫の“The Studio”等を中心に調査を行い、漱石の西洋美術への関心、文芸との関わりの一端を実証的に明らかにした。 研究代表者は、漱石旧蔵の“The Studio”に見られる漱石自身によるものと推測される剥ぎ取りの跡が漱石の関心をうかがわせる証左であると考え、全体について剥ぎ取りの調査を行い、さらに、剥ぎ取られた部分にどのような絵画や記事があったのかということを、欠落のない“The Studio”を入手して明らかにし、それによって漱石の西洋美術への関心の内実を実証的に明らかにする作業を行った。なお、漱石旧蔵の“The Studio”は劣化が甚だしく、調査には予想以上に時間を要し、研究期間を延長することとなった。 漱石が留学中から購入し、中断期間をはさんで、帰国の翌年の1904年2月発行の号から亡くなる1916年まで丸善を通じて定期的に購読していた“The Studio”のうち、剥ぎ取りは留学中のものでは稀で、1904年8月発行の№137から目立つようになること、それが漱石が“The Studio”の絵を模写したものもある水彩の絵を描いていた時期と重なること、剥ぎ取られた部分にあった絵や記事は、従来重視されることが多かったラファエル前派や世紀末芸術等に関するものは少なく、それよりもさらに広がりをもつものであったこと、例えばこれまでに漱石が関心を寄せていたことが指摘されているFrank Brangwyn等に加え、Romilly Fedden等さまざまな画家、芸術家への関心がうかがえることなど、多くのことが、漱石文庫の“The Studio”の調査から判明し、漱石の文芸の背景、視野の広さが明らかになった。
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Research Products
(2 results)