2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370233
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山下 聖美 日本大学, 芸術学部, 准教授 (80349985)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 日本文学 / 林芙美子 / 台湾 / 樺太 サハリン / インドネシア / ボルネオ新聞 / アジア |
Research Abstract |
予定していた三項目の予定のうち、1、林芙美子のアジア文献のデータベース作成、及びテキストのデータ化については、国立国会図書館や日本近代文学館、インドネシア国立図書館、朝日新聞フォトアーカイブなどが所蔵する雑誌や初版本、新聞等の調査を行った。「週刊朝日」「週刊婦人朝日」「ボルネオ新聞」などにアジアにおける林芙美子の足取りを記す新たなる貴重な記事を見つけることができた。また、アジア関係の作品をデータテキスト化する作業は順調にすすみ、「スマトラ 西風の島」「南の田園」「ボルネオダイヤ」などのインドネシア関連作品に関しては完了することができた。 2、現地調査については、まずは台湾にて林芙美子が滞在した地の調査を行った。また、研究協力者と研究会を行い、成果は「林芙美子は台湾をどのように描いたのか」(淡江大学大学院特別講座 2013年5月4日)にて発表した。次にサハリンの現地調査を研究協力者とともに行った。作品「樺太への旅」や「雷鳥」にて詳細に描かれるサハリンにおける林芙美子の滞在ルートの確認調査結果として「林芙美子のサハリン紀行①『樺太への旅』に描かれるもの」(「藝文攷」19号 2014年2月)を発表した。また、インドネシアやアジア各地での現地調査については、シンポジウム「文学とマンガ」(インドネシア大学大学院日本地域研究科主催 2013年9月5日)にて「アジアの中の林芙美子」として報告を行った。また『世界の中の林芙美子』(日本大学芸術学部図書館 2013年12月)に「日本を越え出る林芙美子の文学 アジア各国における林芙美子研究の実践」を発表した。 3、文献解読調査については、日本大学芸術学部図書館で所蔵する生原稿「戦線」の解読調査の一貫として、まずは原文をデータ化する作業を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた三項目のうち、1、データベース作成、及びテキストのデータ化については、おおむね順調に進んでいる。とくにテキストのデータ化についてはインドネシアについて書かれた作品をすべてデータ化し終えることができた。2、現地調査についても、順調に遂行することができた。現地研究協力者たちとの共同作業を通して、さらなる研究の発展についての展望を得ることができた。3、文献解読調査については、「戦線」の生原稿についてまずはデータ化する作業を行っているがまだ完成してはいない。精密さが必要とされるため、来年度も引き続き慎重に作業をすすめなければならない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究を踏まえ、26年度は、データベース作成、及びテキストのデータ化作業をすすめながら、現地調査としてインドネシアのスマトラにおいて「スマトラ 西風の島」の林芙美子の滞在ルートの確認を行いたい。成果は論文やセミナーなどにおいて逐次発表していく予定である。また、『世界の中の林芙美子』執筆メンバー、及び海外研究協力者たちと27年度に予定しているシンポジウムの開催をめざし、情報交換を行いながら研究をすすめていきたい。
|