2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小秋元 段 法政大学, 文学部, 教授 (30281554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長坂 成行 奈良大学, 文学部, 教授 (90131606)
北村 昌幸 関西学院大学, 文学部, 教授 (20411770)
和田 琢磨 東洋大学, 文学部, 准教授 (40366993)
森田 貴之 南山大学, 人文学部, 講師 (90611591)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 太平記 |
Research Abstract |
『太平記』の本文と表現の側面から、古態本文の復元とそこに見られる表現意図についての考察を総合的に行った。本年度は特に、従来最古態を留める一本と認識されている神田本の検討と、『太平記』本文の和歌・漢籍的表現から見る作者の志向・意図、作品の傾向を探る研究に精力が注がれた。 まず、小秋元段は、「雲景未来記事」を中心とした諸本の異同を精査し、これを巻末にもつ神田本の形態が、これを巻の半ばに配置する諸本の形態より後出のものであることを指摘した。長坂成行と和田琢磨は、神田本の書誌・本文にかかわる基礎的事項の再検討を行った。長坂は、神田本の書誌的な側面についての検討を行い、神田本に現れる独特の記号類の意味を探った。和田は、神田本巻二の本文を対象に、これまで未検討であった仁和寺本との比較検討を行った。 北村昌幸は、『太平記』における和歌の出典調査を行い、勅撰和歌集においては一定の傾向が認められることを発見し、そこから作者の志向、作品の特色に考察を及ぼした。また、森田貴之は、『太平記』に引用される漢籍的表現の機能についての検討を行った。その結果、『太平記』では漢籍由来の一つの表現が、異なる価値観のもとで多様に引用される傾向があり、そこに『太平記』の表現の特色を見いだす論を発表した。 以上、研究メンバー5名の成果は、2013年8月18~19日に法政大学で開催した「『太平記』研究国際集会」において発表した。当日は、海外からも含めて、延べ40名の研究者が集まり、熱心な討論を行った。発表内容は各自すでに原稿化しており、2014年10月に笠間書院より報告書として刊行することが決まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『太平記』本文に虚心坦懐に接し、そこから当初の『太平記』の姿に迫る論をメンバー5名がそれぞれ発表できた。また、外国人研究者を交えた「『太平記』研究国際集会」を開催し、国際的な情報交換を図ることができた。さらに研究集会における発表内容を論文化し、2014年10月に刊行できることになったので、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、初年度に取り組んだテーマを各研究者がさらに深化してゆく必要がある。また、共同研究の過程で共有化された研究課題を相互的に追及してゆきたい。そして、その成果は毎年1回開催する「『太平記』研究国際集会」で発表し、その都度、報告集を刊行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
新たに資料を購入して研究を進めるよりも、既存の成果を活用して先行研究の再検討に比重を置いて研究がなされる傾向にあったため。 本研究では、主に(1)文献資料の購入、(2)資料調査の実施、(3)『太平記』研究国際集会における海外研究者の招聘、の3点に対して予算を執行する。(3)については航空運賃の値上がりがつづいているため、次年度使用額を足したかたちで2014年度分を執行してゆく予定である。
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Research Products
(13 results)