2016 Fiscal Year Annual Research Report
孝子伝をめぐる幕府と地方 ――『官刻孝義録』と藩政資料を比較して
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25370237
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
勝又 基 明星大学, 人文学部, 教授 (00409533)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本近世文化 / 孝 / 孝子伝 / 江戸幕府 / 会津藩 / 岡山藩 / 島原藩 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本来、平成25年度から29年度までの5年計画である。本年はそのうち4年目であった。しかし幸いにも、平成28年度研究公開促進費(採択課題番号:16HP5041)が採択されたので、進行中の基盤Cと今までの研究とを合わせて整理し、研究書として一書と成すことに力を注いだ。 とくに本科研と関わる部分に関して述べておく。第二章「表彰と孝子伝の発生」第一節「綱吉による孝行奨励政策の背景」では、『官刻孝義録』の記事を中心に、会津、岡山、福知山、各地で行われた孝子表彰について再確認を行った。同章第二節「偽キリシタン兄弟の流転―保科正之の孝子認定と会津藩における顕彰」では、会津藩と江戸幕府を中心とした孝子顕彰の諸現象について論じた。第三節「表彰と説話集とのあいだ―岡山藩」、第四節「宝物としての孝子伝―福知山藩・島原藩」においては、地方における孝子表彰と孝子伝執筆について、江戸の林家の役割を絡めて論じた。 上記の各章節は主に旧稿を再構成したものであるが、引用の再確認や資料の再検討、新しく出た論文の確認などにおいて、本科研費は大きく役立った。 その結果として、研究書『親孝行の江戸文化』(2017年3月、笠間書院、412ページ)を刊行した 。 上記の著書刊行によって、孝子伝研究については一定の成果を得たと判断し、2017年度の科学研究費(B海外学術)に新たなテーマで申請したところ、採用された。よって本研究は一年前倒しで、本年度をもって終了することにした。
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Research Products
(1 results)