2013 Fiscal Year Research-status Report
文化政治前期の植民地朝鮮における図書館と〈翻訳〉ー日韓文化交流史の再構築ー
Project/Area Number |
25370255
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
奥田 浩司 石川工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90185538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 崇 北海道科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10405657)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 朝鮮 / 植民地朝鮮 / 図書館 |
Research Abstract |
鍾路図書館、南山図書館、延世大学図書館、韓国国立中央図書館において、基礎的な資料の調査を行った。鍾路図書館では、書庫への入室は許可されなかったが、『京城府立図書館図書目録(日本語図書)』を閲覧して資料を収集した。南山図書館でも、書庫への入室は許可されなかった。しかしながら、蔵書を閲覧することは可能であった。主として調査した書籍は、大杉栄著『クロポトキン研究』(アルス刊)、大杉栄著『死灰の中から』(聚英閣刊)、大杉栄著『相互扶助論』(春陽堂)、大杉栄・伊藤野枝共著『乞食の名誉』(聚英閣刊)、有島武郎『反逆者』(新潮社)、有島武郎『或る女』(叢文閣)、有島武郎『ドモ又の死』(叢文閣)などである。これらの書籍を対象にして、蔵書印、書き込みなどについて調査を行った。 延世大学図書館では、『現代』第9号に掲載されている柳宗悦に関係する記事について、調査を行った。韓国国立中央図書館では、鐘路図書館について文献調査を行い資料を収集した。 文化史研究会2013年度例会(2014年2月1日 石川四高記念文化交流館)において、「植民地朝鮮の図書館について」と題して研究発表を行った。発表では、日本語書籍の読者層、朝鮮語で書かれた文章の文体、朝鮮における高等教育機関(私学)の状況、朝鮮における私設図書館の状況などについて、先行研究をもとにして整理した。その上で、延世大学図書館に所蔵されている『現代』に関して、書き込みの意味について考察を加えた。それと同時に、『現代』の寄贈者である金允經について報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度当初に予定してた韓国からの研究協力者の招へいが、諸事情によりできなくなった。したがって、韓国における先行研究についての調査が不十分である。とは言え、日本の研究者がソウルに赴き打ち合わせを行い、韓国の研究協力者の協力をえて、基礎的な資料の収集を行った。十分とは言えないものの、先行研究の状況について、一定程度の見識は得られたものと考える。 また書籍の調査については、韓国での調査期間が限られていたため、少数の図書の調査にとどまっている。今後は、十分な調査期間を確保し、より多くの図書についての調査が必要であると考えている。 翻訳については、『現代』を中心に、朝鮮語の雑誌に掲載された記事について分析を進めている。この点についても同様に、韓国での調査期間が比較的短期であったため、資料の収集が十分ではない。本年度は、調査期間を確保し、さらなる資料の収集を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度と同様に、南山図書館、延世大学図書館において資料調査を行うことを予定している。南山図書館では、手間のかかる作業とはなるが、できるだけ多くの書籍を閲覧して資料の整理を行いたい。その一方で、今年度は、植民統治時代に創立された他の高等教育機関の図書館において資料調査を行いたい。また、地方の図書館でも資料調査を行うことを考えている。 翻訳については、引き続き朝鮮語で書かれた雑誌の調査を行い、翻訳された記事の整理と分析を進める。 今年度は、韓国から研究協力者を招へいして共同研究会を行いたい。研究会の主な課題は、韓国における先行研究の調査である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
韓国から研究協力者を複数名招へいする予定であったが、諸事情から、招へいすることができなかった。したがって、旅費、会議場費などの諸費用を使用することができなかった。 今年度中には、韓国から研究協力者を招へいして、共同研究会を行うことを予定している。また、日本側の研究者が韓国に資料調査に行った際にも、打ち合わせを行いたい。
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Research Products
(1 results)