2015 Fiscal Year Research-status Report
文化政治前期の植民地朝鮮における図書館と〈翻訳〉ー日韓文化交流史の再構築ー
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25370255
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
奥田 浩司 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90185538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 崇 北海道科学大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10405657)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植民地朝鮮 / 図書館 |
Outline of Annual Research Achievements |
第四回中日韓言語文化比較研究国際シンポジウムにおいて、「朝鮮語雑誌『現代』の「デモクラシー」」と題して発表を行った。発表内容は、日本に留学していた朝鮮人留学生の言説について検討したものである。東京の朝鮮基督青年会に所属していた朝鮮人留学生は、機関誌である『現代』を発行していた。『現代』にはデモクラシーに関する記事が掲載されている。発表では、その記事について紹介するとともに、日本の「民本主義」の受容について検討を加え、さらに翻訳の問題についても言及した。 鍾路図書館において資料調査を行った。具体的には、大杉栄や有島武郎の書籍について調査し、表紙、奥付、受入登録印などについて確認し、記録した。また、一部ではあるが、作家別のリストを作成した。 『国語国文学報』第74集(平成28年3月)に、「研究ノート 京城図書館の設立と利用状況についての一考察」を掲載した。本研究ノートでは、宇治郷毅「近代韓国公共図書館史の研究-開化期から1920年代まで-」(『参考書誌研究』第30号、1985年9月)を踏まえ、『京城彙報』第11号(1922年10月)に掲載された李範昇の「京城図書館と私」について検討した。李範昇は、日本への留学経験があり、京城図書館の設立にかかわった朝鮮人知識人である。李範昇は、留学中から一貫して植民地朝鮮のために活動しており、図書館の設立もその延長線上に位置づけることができる。また本研究ノートでは、京城図書館の利用状況について、『京城図書館概況』(1916年8月)、『京城彙報』第8号(1922年6月)、『京城彙報』第17号(1923年3月)などを参照しつつ考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鐘路図書館の蔵書調査については、昨年同様、書庫に入っての調査はできなかった。しかし、研究協力者の協力により、一部の作家についてのリストを作成し、閲覧することができた。その点で、一定の進捗があったと考える。今年度も同様の調査を行い、できるだけ多くの書籍について資料を収集していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、南山図書館、鍾路図書館、延世大学図書館等において資料調査を行うことを予定している。同時に、京城図書館の利用状況についても引き続き、調査を行う。 得られた成果については、東アジア日本語教育・日本文化研究学会 2016年度国際学術大会において報告することを予定している。
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Causes of Carryover |
韓国の研究協力者を招聘できなかったことが、大きな要因になっている。また、鍾路図書館での調査に多くの時間を割くことが出来なかったことも要因になっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、韓国の研究協力者を招き、資料について検討したい。そのため、韓国の研究協力者を招聘する際の旅費や謝金として使用する。 東アジア日本語教育・日本文化研究学会での発表を予定している。
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Research Products
(2 results)