2014 Fiscal Year Research-status Report
『レディーズ・ホーム・ジャーナル』の小説作品における政治力
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25370262
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
秋田 淳子 岩手大学, 人文社会科学部, 講師 (10251688)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アメリカ女性文化 / アメリカ女性大衆雑誌 / レディーズ・ホーム・ジャーナル / 料理 / レシピ |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリスの植民地時代からすでに、アメリカには本国の多数の家事指南書が渡ってきていた。その中には、食事を提供するための料理のレシピも含まれている。しかし、使用される食材や生活様式が異なるために、アメリカ独自のレシピの登場が望まれていた。18世紀になると、当時無名の主婦だったAmelia Simmonsがアメリカ最古のレシピブックを出版すると、多くの家庭が所有することとなった。その後、家事指南書以外の言説で名をなしていたLydia Maria ChildやCatharine Beecherらが出版するレシピが、食生活をとおして、アメリカの女性たちの生み出す「文化」の構築をけん引していくこととなった。 本年度は、Ladies' Home Journal (以下、LHJと記す)に掲載されるレシピに焦点をあてて当時の女性たちの文化を分析し、研究の可能性を指摘した。上記の著者のように、すでに名をなしていた女性たちがレシピを書いていたばかりではなく、無名の女性たちがそれをLHJに投稿していた。大衆雑誌が無名の女性たちを小説の書き手として輩出する媒体となっていたが、文学作品を執筆しない女性たちが料理のレシピという簡単な書き物を投稿する機会をとおして、執筆の習慣や誌面づくりに参与していた。私的な領域にいる多くの女性たちは、レシピの掲載をとおして、公的な領域を経験することとなった。それは、女性たちの公私をつなげる役をもっていた。また、料理の材料と調理の手順が記されているレシピは、書かれていない文字の背後に、女性の生活を映している。レシピの言説の分析をすすめ、女性文化との関係性を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
口頭発表を1回、LHJに関する論文1本しか書けなかった。資料も集まっているが、12月に一次資料を読むためのマイクロリーダーが壊れ、思ったとおりに研究が進まないことも 原因となった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在選定しているマイクロリーダー機を研究室に設置し、研究環境を整えたい。3月予定の資料収集のための渡米ができなかったが、現地の書店が資料を収集しているためにそれを選定するために渡米をしたい。資料がそろったところで、発表論文を複数準備したい。
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Causes of Carryover |
3月に渡米をして資料収集する予定だったが、家庭の事情(介護の調整がつかなかった) ので断念した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に予定していた資料収集を行う。
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