2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25370266
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
馬籠 清子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (60463816)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 20世紀半ば / カルテット / 世界観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の3年目として、これまでの成果を海外の査読付き出版物を通して発表し、リサーチを国内とアメリカで進めたほか、研究対象の文学・音楽作品や関連資料の分析を深めた。
Palgrave MacmillanのAmerican Literature Readings in the Twenty-First Century Seriesの一冊として出版が決まっている研究書Carson McCullers in the Twenty-First Centuryのchapterとして採用されることが予定されていた “The Image of the String Quartet Lurking in The Heart Is a Lonely Hunter” の執筆を完成させ、査読にも合格した。このchapterを通して、McCullers初期の複数の作品に、弦楽四重奏のイメージがほとんど無意識に埋め込まれ、効果的に機能しているという新たな視点を示した。今後、さらに細かな手直しを編集者たちと進めていくので、原稿の見直しを続けている。 Aldous HuxleyのPoint Counter Point, T. S. EliotのFour Quartets, Thomas MannのDoctor Faustusなど、モダニズム期に弦楽四重奏という音楽、特にBeethovenの弦楽四重奏曲Op.132という特定の曲に触発される形で生まれた文学作品の分析を深め、論文の執筆を進めた。また、Vladimir NabokovがNabokov’s Quartetとして集めた4つの短編の間に存在する音楽的関係性について、作者自身の独特な音楽感覚と関連させながら分析を展開し、論文の執筆を進めた。
翻訳では、クレア・V・ワトキンスの『バトルボーン』を完成させ、出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去2年間と同様、文学・音楽・歴史など各分野のリサーチ、各種作品・資料の精読などが予定通り順調に進んでいる。また、分析の成果を、海外の査読付き学術誌や研究書の章として出版しており、出版が決定して最終的な見直し段階に入っている状態の原稿もある。さらに、次年度に海外の学術誌の査読に挑戦する執筆中の論文を2本、同時進行させている。これらの研究成果は、大学・大学院で担当している授業でも少しずつ公開している。
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Strategy for Future Research Activity |
Macmillanから出版されるchapter “The Image of the String Quartet Lurking in The Heart Is a Lonely Hunter” を、編集者と話し合いながら最終的な手直しをする。
執筆中のAldous HuxleyのPoint Counter Point, T. S. EliotのFour Quartets, Thomas MannのDoctor FaustusとBeethovenのString Quartet Op.132との関係についての論文と、Nabokov’s Quartetについての論文の2本を、平成28年度中に書き終えて、海外の学術誌の査読に挑戦する。
1960年前後に文学的quartetと呼べる作品を書いたLawrence Durrell, Doris Lessingの分析も進める。
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Research Products
(1 results)