2013 Fiscal Year Research-status Report
ボーダーランド表象の複合的編成―コーマック・マッカーシーの作品を中心に
Project/Area Number |
25370272
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
山口 和彦 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20361214)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コーマック・マッカーシー / ボーダーランド / アメリカ文学 |
Research Abstract |
本研究は、現代アメリカ小説を代表する作家コーマック・マッカーシーの作品を中心に据え、アメリカ文学における「ボーダーランド(アメリカ-メキシコ国境地帯)」表象の複合的編成について考察するものである。 平成25年度においては、入手可能な先行研究を可能な限り入手すると同時に、テキサス州立大学サン・マルコス校のアルケク図書館所有のウィットリフ・コレクション(the Southwestern Wr iters Collection and the Southwestern & Mexican Photography Collection)のアーカイブ資料の文献学的分析を中心に行った。 とりわけ、「越境」を鍵概念に、冷戦期アメリカにおける「ボーダーランド」表象の成り立ちと系譜を追究するよう努めた。冷戦期アメリカにおいて、ナショナルアイデンティティの構築・強化のために「西 部」や「フロンティア」という概念がどのように呼び戻され、ステレオタイプを超えて再創造されたのかを考察することにより、「西部」起源のアメリカ性、および今日にまで至るアメリカの多文化共生主義、さらには広義のアメリカニズムの成り立ちを問い直すことを目指した。 この文脈において、具体的な成果としては、マッカーシーの代表作のひとつ『すべての美しい馬』(All the Pretty Horses)』を論じた論文「冷戦カウボーイの行方」を、東京学芸大学英語合同教室の紀要『英學論考』に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アーカイブ資料は基本的に現地での閲覧のみが可能な貴重な資料であり、現地に赴いた上で研究を進める必要があるのだが、その数量は予想よりはるかに厖大で調査の時間的余裕がなかった。他方、渡米の際にあわせて行った資料収集は一定の成果をみた。ただし、それらを本研究の研究目的に沿って戦略的に整理し、分析するという作業については時間的余裕があまりなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は、引き続き、アメリカにおける現地調査と国内外における資料収集・整理に基づき、第一次資料と先行研究の分析を主に進める。アーカイブ資料の調査については、現地滞在期間を長くすると同時に、さらに集中的に行う。また、研究の中間的成果を、国内外の学会での研究発表、学会誌論文あるいは紀要論文としてまとめる準備を行う。とりわけ、アメリカのコーマック・マッカーシー学会での研究論文発表を目標としたい。
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Research Products
(1 results)