2014 Fiscal Year Research-status Report
変容する「英文学」と映像文化のポリティカル・エコノミー
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25370273
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大田 信良 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90233139)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 英文学 / 映像文化 / ポリティカル・エコノミー / メディア文化 / ポピュラー・カルチャー / グローバリゼーション / 金融資本 / 知識人 |
Outline of Annual Research Achievements |
1「ヘリテージ映画」以降の英国映像文化における「英文学」としてのKazuo Ishiguroについての論考は、原稿「『インターナショナルな作家』イシグロ?――『充たされざる者』におけるケア労働者の肖像とコソボ紛争の地政学」を執筆したうえで出版社に提出済みである。出版作業が遅れており、現在も編集中である。これにともない、出版自体は次年度になる予定である。また、「ヘリテージ映画」以降を論じる、論集の準備も、研究会等を通じて、進めている。 2「英文学」の制度化と米文学・アメリカ研究との関係については、日本英文学会関東支部第10回大会(2014年度秋季大会)シンポジウム「モダニズム文学と知識人サークル」2014年10月於上智大学、「モダニズム文学とオクスフォード大の諸知識人グループ―「モダニズム」と「モダン」はどのように差異化・差別化されたのか?」として発表した。次に、ブルームズベリー・グループと米国ハーヴァード大学との関係については、「ウォルター・リップマンの「自由全体主義」とは何だったのか――ネオリベラリズムの始まりとしての1930年代?」一橋大学大学院言語社会研究科2014年度紀要『言語社会』第9号141-54.として出版した。 3本研究プロジェクトの出版メディアあるいは大学制度にかかわる研究として、大英図書館において、ケンブリッジ大学の「マイノリティ・パンフレット」について、文献調査した。さらに、オクスフォード大とT. S. Eliotに関連する資料、主として最初のVivienneによる手書きの1935年の日記、4冊の創作ノート(うち1冊は欠本)の閲覧・調査を、オクスフォード大学ボードリアン図書館において、行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.イシグロ論は、昨年度に続き出版には至っていないが、入稿後の編集作業に入っておりまもなく出版される予定であるので、おおむね順調な進展といえる。 2.「英文学」の制度化については、モダニズム文学がケインズを中心とするブルームズベリー・グループやオクスフォード大の諸知識人グループのトランスアトランティックな転回とネットワークによって編制される過程を、紀要論文で発表したり、シンポジウムで発表したりするなど、この分野に関しては、当初の予定よりも進んでいる。 3.オクスフォード・ケンブリッジの文献調査については、ボードリアン図書館での一次資料の調査をすることができた。また、ケンブリッジのマイノリティ・プレスについては、大英図書館で関連資料が文書のかたちでは存在していないことが確認できて、インタヴュー等の調査が必要があることがわかるところまで到達しており、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
1「ヘリテージ映画」以降の論集についてさらに研究会を続け、シングル・マザーとポスト・フォーディズム体制における労働に関する原稿を、執筆する予定である。また、アメリカ映画を中心とする映画論集の企画があり、21世紀のグローバルな地政学的状況から見直された戦間期英国・アジアというコンテクストにおける日米関係の文化表象に関する論考を準備・執筆する予定もある(今年度出版予定)。 2英国の功利主義の伝統や幸福の概念を、英文学とりわけ「偉大な伝統」を代表するD・H・ロレンスのテクストやこれまでの制度化された研究・批評が、どのように表象してきたかを論じた論考が、ロレンス学会の記念論集で出版される予定である。また、21世紀の「オルター・モダン」やグローバル・シティ、ロンドンという観点から、英文学あるいは英国モダニズムのさまざまな変容を論じる口頭発表「“After Modernism”の政治学と映像文化のエコノミー――グローバル都市ロンドンの社会はいったいいつ存在したのか」を、今年度日本英文学会のシンポジウムで行う予定である。 3今年度は、ケンブリッジ大学のマイノリティ・プレスについて引き続き大英図書館で調査するとともに、ケンブリッジ大学に現地調査を行い、インタヴュー調査の可能性を探る予定である。また、「英文学」を映像文化のポリティカル・エコノミーにおいて再生産するBBCならびにピアソン・グループについて、教育政策やカルチュラル・ディプロマシーとの関係も踏まえたうえで、調査したいと思っている。そのために、今年度11月に、英国への出張を考えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度の予算の残額90,220円が次年度27年度に繰り越されたのは、ケンブリッジ大学への文献調査を実施しなかったことが理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この差額分については、平成27年度11月末に渡英し文献調査を実施することにより、使用する予定である。
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Research Products
(3 results)