2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25370284
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
齊藤 美和 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (90324962)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 伝記 / 女性 / 近代 / イギリス / 偉人伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
近代英国において〈偉人伝〉は教育、政治、宗教の各領域において重要な役割を担うジャンルであったが、女性がこうした伝記の対象となるケースはごく限られていた。本研究においては、伝記の中でも長い伝統をもつこのジャンルと女性との関わりに焦点を絞って研究を進めることで、日記や私的な自叙伝を中心に進められてきた近年の女性の伝記研究とは異なる視座に立ち、近代社会において女性の人生がどのように公に語られ、意義づけられたのかを明らかにした。初年度となる25年度は、特に近代初期に書かれた女性による自伝についての文献調査を行った。併せて、近代の自伝文学における顕著なジャンルであるSpiritual Autobiographyについての研究を進め、学会での口頭発表および研究論文でその成果を公表した。26年度は前年度の調査を踏まえつつ研究を進め、十七世紀の女性には珍しく、出版を前提に自伝を執筆したMargaret Cavendishに着目し、この女流作家が自著の巻末に付した自伝とロマンス作品との相関関係について考察、その成果を共著『十七世紀英文学を歴史的に読む』で公表するとともに、本自伝を基礎文献資料として今後の伝記および文学研究に資するよう翻訳し、学術誌で公表した。最終年度となる27年度は、女性の偉人伝について、聖人伝と頌詩の伝統から考察するという課題を進め、特にJohn Donneが当時無名であった少女を追悼する目的で書いたAnniversariesを中心に考察し、その成果を学術誌で公表した。加えて、エリザベス一世の死後、その生涯を讃えた伝記について調査を行い、Francis Baconによる女王の回顧録の偉人伝としての意義について考察、この回顧録については概要をまとめ、公表予定(28年5月)である。本研究課題の成果を踏まえ、今後、「女」王エリザベスに関する伝記的著作を、〈偉人伝〉の観点から、さらに調査・研究する計画である。
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Research Products
(2 results)